平成25年(2013)5月下旬、洗井沢川、砂押川(境川水系柏尾川支流)の流域となる森を歩き、北鎌倉から横浜・南の森(つながりの森)へと延びる尾根を歩いて横浜自然観察の森(境川水系柏尾川支流・いたち川源流部の森)へ。
2.今泉不動から散在ガ池森林公園、天園ハイキングコースへ
今泉不動・称名寺(鎌倉市)から散在ガ池森林公園へ。今泉不動の見どころは境内を流れる砂押川に掛かる陰陽の滝。か細く優しげな二つの滝が掛かっている。散在ガ池森林公園はせせらぎの崖地にイワタバコの群落。散在ヶ池は別名「鎌倉湖」とも呼ばれる池。馬の背の小径は登山道の趣き。
1.JR本郷台駅から荒井沢市民の森、今泉へのページはこちら。
荒井沢市民の森の尾根を下りてきて、称名寺・今泉不動へ。
道沿いに流れる砂押川(すなおしがわ)。岩を刳り貫いたトンネル水路。
浄土宗今泉山(こんせんざん)一心院(いっしんいん)称名寺(しょうみょうじ)・今泉不動(いまいずみふどう)。
砂押川の奥まった谷戸に位置する。
開山は空海と伝わる。鎌倉時代には代々の将軍・執権が参拝するなど栄えたが幕府の終わりとともにすたれ、江戸時代前期に再興し元禄六年(1693)称名寺と称するようになった。
境内案内図。
六地蔵。
称名寺本堂。平成25年(2013)に落成したばかりの、入母屋造(いりもやづくり)・流れ向拝付(ながれこうはいつき)のお堂は、白木の薫りそうな真新しさ。
奥には弁天堂が見える。
「一心院」の扁額。
宝形造(ほうぎょうづくり)・流れ向拝付の弁天堂。
江戸時代に寺を再興した蓮入(れんにゅう)が江の島弁天のお告げでこの地に来たというので、弁財天が祀られている。
流れ向拝の先端に立浪の飾り瓦が付けられている。
火除けのお守りとしての意味があるが、水の神様である弁天様にもちなんでいるのだろうか。
境内の奥には、不動堂登り口の石段と、陰陽の滝(いんようのたき)へ下る石段が。
陰陽の滝へ。
不動明王が祀られた、岩の祠。
男滝(おたき)。落差3mの、二筋の滝。
男滝に向かって左手に、女滝(めたき)。こちらは落差1.2m。
この滝には伝説がある。
弘法大師空海が諸国を遍歴しこの地に至ったところ、現れた仙人が「この地は金仙山(こんせんざん)という。この地に不動明王の姿を彫り、人々の迷いを救いたまえ」と告げた。空海が不動明王を彫って山上の堂に祀りお祈りをしていると仙人が再び現れ「この地は水が少なく村人が困っているので水が出るよう不動明王にお願いせよ」と告げた。大師が岩に二か所穴を掘ってお祈りをすると、そこから水が湧き出て滝となった。
この時から金仙山を、水の湧く今泉山(こんせんざん)と書くようになり、そこから今泉(いまいずみ)の名が生まれた、という。
オニヤンマがやってきた。
渓谷の流れは砂押川となり、やがて柏尾川(かしおがわ)、境川に合流して相模湾に注ぐ。
女滝の筋は、か細い。
女滝と男滝の間に、不動明王像。
山上の不動堂へ。すり減った石段が年月を感じさせる。
苔むした石段を、さらに上っていく。
宝形造・流れ向拝付の、不動堂。ここを「今泉不動」「元不動」と称する。
江戸時代にこの寺を再興した蓮入は、江の島弁天に参詣したところ弁天様からここの不動明王に祈るようにお告げをうけた、という。
森に囲まれた不動堂。
三猿と、おかめ。
三十六童子の石像。
その奥に、大日如来の石像。
森閑とした、境内。
今泉不動を後に、散在ガ池(さんざがいけ。さんざいがいけ)森林公園へ向かう。
道端のホタルブクロ。
砂押川に架かる不動橋を渡り、森林公園へ。
「鎌倉湖」は「散在ヶ池」の別名。道案内に刻まれた「笹竜胆(ササリンドウ)」の紋は鎌倉市の市章。
笹竜胆の紋といえば源氏の家紋というイメージが強い。ただ、鎌倉にゆかりのある頼朝自身がこの紋を用いていたという確証はない。ともあれ、歌舞伎の演目にも見られるように源氏イコール笹竜胆は定着している感があるので、やはり笹竜胆の紋は鎌倉の市章にふさわしく感じる。
散在ガ池森林公園の正面入口(北側入口)。
せせらぎの小径へ。
幽邃な小径。
奥には堤が築かれ水が細く流れ落ちている。
木道はやがて、渓谷へ。
急峻な断崖。
崖にはイワタバコの群落。夏には紫色の星型の花を咲かせる。
木道からつづら折りに、山道をたどる。
登った先にある、公園案内板。面積にして、約28ヘクタール(100m四方×28)。
散在ヶ池(さんざがいけ。さんざいがいけ)。別名を鎌倉湖という。左の建物は、管理棟。
池の名前は「散在ヶ池」と称するが、公園の名は「散在ガ池森林公園」と表記される。
この池には、開墾された農地が散在するところの農業用ため池としての歴史があった。
管理棟一階より。
江戸時代の終わりごろ、水争いの絶えなかった下流域を収めるため代官が堤を築いて現在の池のようになった、という。
深い谷に大きな堤を築いて作られた池は、中央が深い。
この池には、神のお告げを破って池の主である大うなぎを殺してしまい命を落とした神次少年の伝承がある。
池畔の堤から馬の背の小径へ。
勾配の急な、狭くて滑る岩の尾根道。馬の背、と言うだけのことはある。公園路というより登山道のようだ。
南口。
南口の右手すぐに、天園(てんえん)ハイキングコースへの緑道が続く。
鉄塔に向かってまっすぐに伸びる緑道。
緑道の終わりから、道案内に従ってゆく。
小広い芝生の今泉台六丁目公園へ。
公園内から、ハイキングコースに上がる。
あっという間にハイキングコースに出た。
正面を下れば覚園寺(かくおんじ)、右に行けば十王岩(じゅうおういわ)から勝上けん(しょうじょうけん。けんは、山かんむりに献)へ。
左に進むと大平山(おおひらやま)から天園(てんえん)へ。
晩秋の散在ガ池森林公園・今泉不動はこちらのページへ。
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