八景島の紫陽花
令和七年(2025)の6月中旬、横浜金沢の八景島(はっけいじま)へアジサイを観に行く。紫陽花の季節になると例年「あじさい祭」が開催されており、第25回のこの年は6月7日〜29日。


京急・金沢八景駅からシーサイドラインに乗り換えて7分で八景島駅に到着。八景島へは駅を出て左手の松並木へと進み、金沢八景大橋を渡ってゆく。


金沢八景大橋からの眺め。
西浜さん橋、旧海上レストランの右手にこんもりとした野島(のじま)が見える。野島の右すそにポツンと見える赤い屋上看板はショッピングモールのサンビーチ追浜(おっぱま)。屋上看板の奥に重なるのが二子山山系(逗子・葉山)の下二子山(しもふたごやま。206m)。


八景島は昭和末期から平成初期にかけて造成された人工島。「恋する遊び島」のキャッチコピーでシーパラダイスが開園したのが平成5年(1993)だから、もう30年以上にもなる。


あじさい祭の幟が立つ島内。正面には散策路の「あじさい坂」。
シーパラダイスで遊ぶなら当然に料金がかかるが、散策目的の入島なら料金は不要。


あじさい坂へと進む前に、「あじさい八景めぐりスタンプラリー」のチェックポイントへ。
第1のチェックポイントは「西浜シーサイドガーデン」。テントが出ており、スタンプラリーの台紙と一つ目のスタンプが用意されている。
「あじさい八景」
第一景「西浜シーサイドガーデン」
第二景「あじさい坂」
第三景「シークレットガーデン」
第四景「ブルーパラダイス」
第五景「八景ブルーの庭」
第六景「あじさいの花道」
第七景「あじさいの滝」
第八景「新緑のあじさい」
スタンプラリーのチェックポイントはそのうち「あじさい坂」「あじさいの花道」「あじさいの滝」を除いた五か所。


あじさいマップ


テント脇の大型ポットに植えられたガクアジサイ「ラグランシア ブライダルシャワー」。


こちらはガクアジサイ「朱雀(スザク)パープル」。ピンボケが口惜しいのだけれど、きれいな園芸品種なので載せてみた。


第一景「西浜シーサイドガーデン」へ。


海辺のあじさい。






第二景「あじさい坂」へ。


柏のような葉っぱを付ける、カシワバアジサイ。これは「スノーフレーク」という品種か。


ガクアジサイ。中心部の両性花が開花し始めている。手まり咲きのアジサイと比べると控えめな印象のガクアジサイだが、繊細な両性花が満開になった姿は可愛らしくもあり、美しくもあり。






小振りな手まり咲きのあじさい。


六月中旬に入ったばかりのこのときは、まだまだつぼみも多かった。


ラリーコースを進んでいく。


外周から散策路(ラリーコース)に上がってくる階段坂。


第三景「シークレットガーデン」。


ピンクアナベル。最近街の植栽で見かけることが多くなった白いアナベル(アメリカ産のあじさい)の色違い。


このカシワバアジサイはもっちりとした花房を付ける「ハーモニー」というちょっと珍しい品種。


こちらもカシワバアジサイ。これはたぶん「スノークイーン」。


シークレットガーデンの坂を上がった先は、第四景「ブルーパラダイス」(丘の広場バラ園)。


「ブルーパラダイス」では青い紫陽花、白い紫陽花が多くみられる。
土壌で色が変化することで知られるアジサイだが、青い色は土壌が酸性だと出てくる(リトマス紙の変化の逆)。これは酸によって土壌のアルミニウムが溶け出し花の細胞に含まれるアントシアニン色素(赤紫色)と結合して青くなる、と説明される。日本の土壌は酸性が多いので青い紫陽花が多い。
一方でアルカリ性だとこの現象が起こらないため紅ないしピンクのまま、となる。コンクリート壁の際など石灰の成分(アルカリ性)が滲み出るところでは赤・ピンク系が多くなる。ヨーロッパの土壌はアルカリ性が比較的強いので日本から持ち込まれたあじさいが赤くなったそうだ。
とはいえ、この説明が当てはまらないケースも多い。開花がすすむにつれて色が変わっていく品種もある。


あじさい坂から分岐するショートカットで丘の広場(ブルーパラダイス)に上がってくる階段坂。
ラリーコースになっていない散策路も両側が紫陽花で彩られている。


案内板。
八景島で観られる紫陽花はおよそ20,000株。そのうち18,000株はガクアジサイ、2,000株がセイヨウアジサイとのこと。
日本に自生するあじさいは14種。ガクアジサイ、ヤマアジサイ、タマアジサイ、コアジサイ、ツルアジサイ、ガクウツギ、ノリウツギなど。
ガクアジサイ、ヤマアジサイはその大半が額咲きであり、各地で発見された様々な自生種のほか現代に作出された園芸品種も数多い。
一般的に知られる手まり咲きのアジサイはガクアジサイの変種として位置づけられ、区別のためにホンアジサイとも呼ばれる(少なくとも学術的にはホンアジサイという種類はない)。日本の自生種が18世紀末ごろから西洋で品種改良されてきたセイヨウアジサイ(ハイドランジア)をはじめ、現代に至るまで数々の園芸品種が出回っている。
日本で古くから知られる手まり咲きの品種は、ヒメアジサイが有名。朝ドラ「らんまん」で一般的な知名度を一気に上げたであろう牧野富太郎博士により信越地方の人家に植栽されていたところを発見、命名された。北鎌倉・明月院の境内を青で埋め尽くすことから「明月院ブルー」と呼ばれる数千株のあじさいもヒメアジサイ。
ヒメアジサイはヤマアジサイの亜種であるエゾアジサイの一品種(自然交雑種)とされており、野生のものは確認されていない。
参考 「NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビ9 アジサイ」 川原田邦彦著
高知県立牧野植物園ウェブサイト 植物データベース ヒメアジサイ


ガクアジサイ「綾波」。




ガクアジサイ「ダンシングスノー」。




ガクアジサイ「隅田の花火(すみだのはなび)」。花柄が長く、シューっと上がった打ち上げ花火がポン、と開いたような姿で庭木として人気の高い園芸品種。中心部の両性花は淡い青だが外側の装飾花は淡い青のみならず白いものも多くみられる。


淡く青がかった「隅田の花火」。


これはヒメアジサイだろうか?幾つかの手まりがゴツゴツした塊となって咲いている。


ガクアジサイ「千代女(ちよじょ)」。


こちらは色が淡い。


ガクアジサイ「ダンスパーティー」。細身の花弁が広がるように立ち上がった姿。こちらも愛好家に人気が高く、2000年代初頭ごろからのあじさいブームの火付け役となった。この品種はピンクが一般的だと思うが青みがかったものもある。


カシワバアジサイ「ハーモニー」。


カシワバアジサイ「スノークイーン」。


カシワバアジサイの基本種。


名札には「ヒメアジサイ」とあった、額咲きの「ガクヒメアジサイ」。ヤマアジサイの特徴ともいえる赤みを帯びたほっそりした茎と小振りな薄い葉は、ヒメアジサイが元々はヤマアジサイの一種であることを再認識させる。


ガクアジサイ「ウェディングドレス」。


バラ園の春バラは開花が進み、そのほとんどが大きく開いた感じになっていた。


バラ園奥の「幸福の鐘」。鐘楼のデザインはガゼボ(西洋あずまや)風。周りにはユリが咲き競い、初夏の装い。
第五景「八景ブルーの庭」へは、この奥の階段を下りずに丘の広場に引き返し、ゆるやかな坂を下っていく。


坂の下り始めに咲いていた、ピンクの「ダンスパーティー」。ダンスパーティーの色といえばこれ、という印象が強い。


ダンサーが輪になって踊っているような、優雅な姿。




装飾花の花弁の縁が鋸歯(きょし。のこぎりば)になっている、ナデシコ咲きのガクアジサイ。




「あじさい八景」のなかでもたぶん1,2を争う人気の、「八景ブルーの庭」。




空色のような、水色のような、淡いブルーのガクアジサイ「八景ブルー」。




「八景ブルー」は八景島20周年の2013年に公募によって命名された。


第六景「あじさいの花道」を下っていく。


あじさいの花道を下った先は、第七景「あじさいの滝」。写真のみならず水彩画の愛好家にも人気のスポット。


階段坂の両側に白いアナベルがみっしりと植栽されている。


咲き始めの黄緑から白へと移り変わっていくアナベル。


「あじさいの滝」を遡って、滝登り。


登り切ったあたり。ここから第四景「ブルーパラダイス」(丘の広場)への階段、第六景「あじさいの花道」の中ほどあたりに戻ることもできる。




第八景「新緑のあじさい」。


スタンプラリーのスタンプ台近くに置かれた大型ポット。


名札が付けられたポットの青いガクアジサイは「シーパラブルー」という品種。


植え込みにもブルーのあじさい。


このガクアジサイは装飾花の花弁が丸みを帯びている。


これらのガクアジサイはたぶん「フェアリーアイ」か何か(知らんけど)。ここは名札が欲しいところ。


これにて「あじさい八景」めぐりは終了。初夏を彩るブルーサルビア、夏色真っ盛りの洋ギク(ルドベキア)の花壇を横目に、R357の高架下をくぐって金沢八景大橋、八景島駅へ。
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