平成25年(2013)3月、相鉄線鶴ヶ峰駅を起点に渓谷の景観が印象的な公園を巡るウォーキングへ。ゴールは日帰り温泉。
ルートその一は、帷子川(かたびらがわ)親水緑道から中堀川沿いの白根(しらね)不動尊、竜泉寺の湯まで。こちらはのんびり歩ける手軽なコース。
ルートその二は、帷子川親水緑道から市沢川の陣ヶ下(じんがした)渓谷、満天の湯まで。こちらはややロングコース。親水緑道を省いて隣の西谷(にしや)駅をスタートにすることもできる。
1.鶴ヶ峰駅から帷子川親水緑道へ
帷子川親水緑道は池泉回遊式庭園ゾーンと渓流ゾーンによって構成される親水公園。帷子川の河川改修により川として利用されなくなった旧河道を、水辺に親しむ公園とすることを目的として平成元年(1989)に誕生した。
※渓流ゾーン(せせらぎゾーン)は令和6年(2024)11月以降、相鉄線鶴ケ峰駅付近連続立体交差事業(線路の地下化)に伴う工事により状況が一変している。
相鉄(そうてつ)線鶴ヶ峰駅北口。
北口から正面へと進むと左から交通量の多い車道(水道道・すいどうみち)が合流する。
「鶴ケ峰まちかど広場」の角を右へ曲がる。
※「まちかど広場」は後に改修されており、装いを新たにしている。
左手にセブンイレブン。そのまま直進。
珈琲の店南蛮屋の前を過ぎ、そのまま突き当りまで真っすぐに進む。
ほどなくして、帷子川(かたびらがわ)親水緑道の入口。
イラストマップ1帷子川親水緑道周辺マップ
緑道入口の各所に設置されていた案内図。
入口から日本庭園へ。
こちらは柔らかな新緑の庭園。
紅葉の季節の帷子川親水緑道。
小振りながらも、小滝を掛ける池に中之島や東屋を配し反り橋・石橋を渡した本格的な池泉回遊式庭園は、鎌倉時代の史跡が点在するまち・鶴ヶ峰の顔のひとつ。帷子川の直線化改修が終わったのち、旧河川跡を利用して平成元年(1989)に開園した。
昭和52年(1977)当時の鶴ヶ峰航空写真
画像出典・国土画像情報(カラー空中写真)国土交通省。文字加工はサイト管理者。
若干の湧水とポンプアップされた川の水が池へ注ぐ。
上の池から、下の池へ。
開園当時の帷子川親水緑道・日本庭園。
諸事情あって、東屋のしつらえは少々変わった。
画像出典・市民グラフヨコハマ第71号(横浜「最新・名所案内」)平成2・1990年刊)
帷子川沿い側の入口からの景観はこの庭園を特色あるものにしている。
日本庭園を後にし、せせらぎへ。
懸崖造りのような枝ぶりの見事なイロハモミジだったが、のちの台風で枝の一部を失ってしまったことが惜しまれる。
せせらぎ沿いのガクアジサイ。
梅の多い散策路。
水辺にはコサギもやってくる。
ここからは令和6年(2024)11月の鶴ケ峰駅付近連続立体交差事業による現状変更より以前の画像。
竹林の足元にシャガの花。右に鶴ヶ峰駅への近道を分け、ほどなくしてせせらぎは渓谷の景観に。
駅近道の反橋(そりはし)。左が渓流に下りる道。
橋のたもとのモミジは色づきがとてもいい。
渓流沿いへ。
岩壁の迫る崖地がそのまま残された、渓流。
親水緑道のハイライトともいうべきこの空間は、改修される前の旧帷子川の名残り。
※令和5年度(2023年度)ごろから「相模鉄道本線(鶴ケ峰駅付近)連続立体交差事業」が着工しており、崖地沿いに工事作業用の足場が組まれている。
山間部の渓流と見紛うばかりの景観のすぐ上を、10両編成の電車が頻繁に走り抜けていく。ここは都市部に残された身近な自然。
再び、園路へ。
竹林を過ぎると、やがて吊り橋。
令和6年(2024)相鉄線鶴ケ峰駅付近連続立体交差事業(線路の地下化)による遊歩道の切り回し工事実施後の状況。
令和6年(2024)12月の中旬、紅葉の季節。親水緑道の現況を見に行ってみた。
奇麗に色づく紅葉。
駅近道の反り橋付近まで来ると、渓流沿いに下りる園路がフェンスで塞がれている。
なんか、凄いことになっていた。景観が一変している。
告知看板によると、遊歩道の切り回しは11月18日より実施。2025年4月下旬までを予定している。
ウェブで閲覧できる連続立体交差事業の工事説明会資料(令和5年3月)によると、今後この辺りでは地下新駅舎の大規模工事が行われることになっている。
変わり果てた「せせらぎゾーン」。かつての面影は全くない。
市街地の地下とはいえ地下駅の地上部に建築物が建て込んでいる訳ではないので、始めから地上部分をそのまま維持した工事が行われる計画ではなかった、ということだった。
遊歩道の切り回しということで、仮設の通路が通されている。
帷子川旧河道の自然景観に配慮して造られた元々の遊歩道ではあるが、それは流路の水量を確保するために旧河道の幅を狭めることに伴って設けられたものだった。
工事説明会の資料3-2.施工順序「STEP3:親水緑道の復旧〜踏切の除去」によると令和12年度〜令和14年度(2030年度〜2032年度)にかけて親水緑道の復旧工事が行われる予定、とある。
これから再整備される遊歩道に沿ったせせらぎが従来のように自然性の高いものになるのか、あるいは石を貼ったような人工的な護岸になるのかは今後を見てみないと分からない。例えば渓流沿いに玉石を敷き詰めるなどすれば細かな土砂の堆積によりやがて自然に近い姿に戻っていくであろうが、元のせせらぎ沿いのような姿が再現されないとしたら帷子川親水緑道の景観をつくってきた大切な要素は失われてしまうこととなる。
対岸の様子。現状では先に設置された足場のほかには手が加わっていない。
工事説明会の資料3-4.親水緑道には「生態系に配慮し、水路を切り回します」「重要植物や水生生物は親水緑道内に移植します」とある。
資料3-2.施工順序「STEP2:掘削〜新駅舎の建設」(2025年度〜2029年度)によれば、この辺りにいずれ新駅舎建設工事の作業構台が構築されることになる。ただ渓谷の崖地部分の断面図は《B-B断面》であり崖地は残っているようにも見える。新駅舎の断面図《A-A断面》は崖地に掛かる部分ではない。
復旧後の親水緑道は現在の地形、景観を活かしたものであることを期待したい。
吊橋の手前で本来の園路に戻る。
小振りながらも本格的な吊り橋を渡ると、そこはバードウォッチング・ウォール。
鬱蒼とした森に沿って園路をゆく。ささやかな瀬音が耳に心地いい。
※左手の崖地沿いの木々や渓流沿いの大木は後に大掛かりに伐採され、景観に変化が生じている。
木々が伐採された跡には崩落防止ネット(金網)が張られている。
広場側出口から、現在の帷子川へ。
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