まちへ、森へ。

鎌倉・天園ハイキングコースと横浜・南の森(つながりの森)

1.北鎌倉駅から天園へ

 

平成22年(2010)5月、新緑真っ只中の大型連休の頃、JR北鎌倉駅から天園ハイキングコースを天園(六国峠)へ。天園からは鎌倉横浜市境尾根をたどり、円海山・大丸山周辺の市民の森をつないで歩く。

 

 

JR横須賀線・北鎌倉駅。
見えている踏切は、駅構内で上りホームと下りホームを行き来する構内踏切。神奈川県内では西丹沢・大野山(おおのやま)ハイキングの起点となる御殿場線の谷峨(やが)駅など、数えるほどしかない。これほど乗降客の多い駅では、ここだけだろうか。

 

駅舎の改札は上りホーム側。ここは下りホームの先頭(久里浜方面)寄り改札から出て、線路沿いをゆく。

 

 

 

JR北鎌倉駅から歩き始める、鎌倉の尾根歩き。

 

 

 

駅を出てすぐ、鎌倉五山第二位・臨済宗瑞鹿山円覚寺(ずいろくざんえんがくじ。臨済宗円覚寺派大本山)の総門。

 

時は元寇(弘安の役)のあと、弘安五年(1282)に鎌倉幕府第八代執権北条時宗(ほうじょう ときむね)により戦没者の菩提を弔うために創建。関東大震災で伽藍のほとんどが倒壊してしまったが、舎利殿(国宝)は修復され現存する。

 

なお、線路の向こう側には、境内の一部である白鷺池(びゃくろち)がある。国策で帝都東京と軍港都市横須賀を結ぶ路線が敷設された時代ゆえ、境内を横切るように線路が通っている。

 

 

 

円覚寺の先、しばらく進んだ道を左折すると、明月谷(めいげつがやつ。めいげつだに)。

 

谷(やつ)とは、小山に挟まれた浅い谷の地形を指す言葉。鎌倉以外の神奈川や多摩では谷戸(やと)、房総では谷津(やつ)と呼ばれることが多い。

 

苔むした石造りの橋など年代を感じさせ、よい雰囲気。

 

 

 

明月院の総門前には茅葺の建物。

 

 

 

明月院(めいげついん)。あじさい寺として有名。
もともとは禅興寺(ぜんこうじ。1268年頃開山、明治の初めに廃寺)という寺の塔頭(たっちゅう)であるが、やがて一つの寺院ような規模を持つにいたった。

 

 

 

さらに道を進んで喫茶店「笛」を過ぎ、右手に見える急坂を上って天園(てんえん)ハイキングコースに続く尾根へ。

 

 

 

茶屋のあたりから山道らしくなってきた。

 

 

 

この辺りは歴史的風土特別保存地区。

 

 

 

 

 

 

 

勝上献(しょうじょうけん)展望台が見えてきた。

 

 

 

ここは鎌倉五山一位・巨福山建長寺(こふくさんけんちょうじ)伽藍の最奥でもある。

 

 

 

標高は145m。
書籍では、けんは山かんむりに献の字があてられていることが多いが、ここでは献の字があててあるのでその通りに。

 

 

 

堂宇が縦一直線に並ぶ、禅宗独特の伽藍配置。

 

 

 

左に目を移せば、鎌倉の中心市街地から、相模湾。若宮大路(わかみやおおじ)が海に向かって斜めに伸びている。

 

 

 

勝上献を後に、岩尾根のトレイルをゆく。

 

 

 

尾根の左手(北)に目をやれば、鎌倉市今泉台の住宅地・ゴルフ場の向こうに、みなとみらいが見える。画面の左手前には、上大岡の超高層ビルもよく見える。

 

 

 

尾根道を一段上がり、十王岩(じゅうおういわ)へ。

 

 

 

「かながわの景勝50選」鎌倉十王岩の展望。

 

 

 

すっかり風化している、頭巾をかぶった閻魔王のような像など三体。夜になると喚いたといわれたことから、またの名を喚十王(わめきじゅうおう)ともいう。

 

 

 

ここからは三方を山、前方を海に囲まれた鎌倉の地形的特徴が一目でわかる。

 

 

 

鎌倉の中心・鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)から由比ヶ浜(ゆいがはま)・材木座(ざいもくざ)海岸に向かってまっすぐに伸びる若宮大路(わかみやおおじ)・段葛(だんかずら)と二の鳥居、一の鳥居がここからはくっきりと見える。

 

 

 

先へ進むと、鷲峰山(じゅぶせん)。鷲峰山は、真言宗覚園寺(かくおんじ)の山号。鷲峰山一帯が覚園寺の裏山にあたる。

 

 

 

このやぐらも、覚園寺のやぐら群のひとつ。
やぐらとはもともと鎌倉時代の武士や僧の墓であるが、近世以降弘法大師像が祀られたりと、信仰の対象としてのかたちがさまざまに変遷している。

 

 

 

やぐらの上には、台座に「第八十八番 本尊薬師如来 讃岐国大窪寺(おおくぼじ)」と彫られた、弘法大師像がある。台座の下に鷲峰山と彫られている。

 

 

 

天園ハイキングコースを歩きごたえのある道にしている、大きな段差。
段差を下りて少し進むと今泉台方面、覚園寺(かくおんじ)方面への分岐となる。

 

 

 

今泉台への分岐は、住宅地の向こうにひろがる散在ガ池(さんざがいけ)森林公園や今泉不動・称名寺への道に通じている。

 

 

 

今泉台・覚園寺への分岐を過ぎてからも、岩がちな道が続く。

 

 

 

標高を次第に上げていく。

 

 

 

ハイキングコースの、尾根上ではいちばんの登り。

 

 

 

あと一息。

 

 

 

大平山(おおひらやま)に到着。

 

 

 

鎌倉市最高峰(最高地点)の大平山。標高159m。

 

 

 

振り返ると、結構高い。

 

この先、左手のゴルフ場を横目にしばらく歩くと、天園・峠の茶屋。

 

 

 

※峠の茶屋は現在は閉店、撤去されている。

 

 

 

峠の茶屋跡のすぐそばの岩場は、ちょっとした展望台。鎌倉市街地の先、稲村ケ崎方面の眺め。

 

 

 

尾根の向こうに、うっすらと富士山が見える。

 

 

 

分かれ道。左手をまっすぐ進み、鎌倉横浜市境から円海山(えんかいざん)方面へと進む。

 

 

 

なお右へ下っていくとお休み処の「天園休憩所」がある。そちらは天園ハイキングコースが続き、瑞泉寺(ずいせんじ)から鎌倉宮(かまくらぐう)への道。 
JR鎌倉駅から獅子舞の谷〜天園〜瑞泉寺へはこちらのページへ
天園(六国峠)周辺マップ

 

 

2.天園から大丸山、金沢市民の森へ

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