まちへ、森へ。

伊豆山権現から十国峠、鎌倉将軍家の足跡

4.伊豆山神社本宮から岩戸山へ

 

3.伊豆山神社と子恋の森はこちら。

 

 

伊豆山神社本宮。標高392m。

 

 

 

お昼の12時20分ごろ、岩戸山へ向けて出発。岩戸山へは本宮の脇から進む。

 

 

 

本宮の裏手には岩戸山から延びていく尾根。

 

現状では岩戸山ハイキングコースは伊豆山神社本宮から登山口まで、企業の保養所が建ち並ぶ車道を大回りするようになっている。

 

 

 

子恋の森公園の出口に立っている案内板。
本宮社の先、国土地理院地形図にも載っている車道や山道が白で消されている。

ちなみにこの図、七尾団地やバス停と道路の位置関係が現状を反映していない。おそらく路線バス七尾原循環線ができる前、1990年代後半の頃の図であろう。
あるいは岩戸山山頂を巻くハイキングコース(伊豆山神社側からの分岐は現在通行止め)が描かれているので、もっと前のものかもしれない。1991年発行の「山と高原地図箱根」付録のガイド(岩戸山)でも伊豆山神社側から岩戸山頂を巻いていく道は「昔は分岐から巻いていって南から山頂へ登る道があったが」という扱いだった。

 

 

 

同じくこちらは新しい(といっても結構経っている)案内板。

 

本宮社から少し下りた先、七尾団地バス停から保養所の建ち並ぶ車道沿いに赤いラインが引かれている。

ただし略図なので道の距離感はかなり大雑把になっている。「七尾団地」バス停の位置も七尾原循環線ができる前(90年代後半まで)までの位置のみが描かれている。当時の路線は熱海駅から登ってきて熱海自動車学校(当時は団地入口)から七尾原までと団地中央・七尾団地まで。それぞれの先を結ぶ循環路線は企業の保養所進出が相次いだ2000年頃以降に開設された。なお「七尾団地」バス停は1991年の「山と高原地図箱根」では「奥の院」という名になっていた(あるいはそういうバス停があったのか)。

 

岩戸山ハイキングコース案内図で白く消された道が通っていた辺りは現在、会員制リゾートホテルの事業者が大手ゼネコンから土地を取得している(通行禁止となっているのはそれ以前からのようだ)。そのためこの新しい案内板が随所に掲示され、そちらへの誘導が徹底されているようだ。

 

 

 

分譲地をぐるっと回り込み、海を見下ろす。

 

 

 

七尾団地バス停に向けて、いったん下っていく。

 

 

 

伊豆山神社本宮の手前で結明神社(むすぶ みょうじんしゃ)本社石祠の分岐から直進してきた舗装路が右手から合流。

 

ここは左へ上がる。

 

 

 

左手の道は地理院地形図上は登山口への最短ルートになるが、この先が通行できないようだ。七尾団地バス停はここを右へ行く。

 

 

 

新しい道標が立っている。

 

 

 

七尾団地バス停。
この路線は初見者にはちょっと分かりにくい。

「七尾団地」バス停から岩戸山登山口に一番近い「日本IBM熱海ゆとりうむ前」バス停に登っていく方向(熱海駅〜七尾団地〜熱海駅循環バスの「熱海自動車学校」バス停から時計回り。七尾団地先回り)は昼の12時台からある。時間が合えば伊豆山神社本宮からの長い車道歩きをバス乗車で省略できる。

 

これに対して午前11時台までとなると、この循環路線は熱海駅から「熱海自動車学校」まで登ってきたあと逆回り(反時計回り。七尾原先回り)で「日本IBM熱海ゆとりうむ前」を経由して熱海駅に戻るので「七尾団地」から岩戸山への登りには使えない(熱海駅からバスで日本IBM熱海ゆとりうむ前バス停まで乗ってしまう場合は使える)。

 

詳細は東海バス公式サイト、NAVITIME(ナビタイム)バス路線検索などを参照。
※なお東海バスでも令和四年(2022)3月より関東地区のICカードが使えるようになった。

 

 

 

再び案内図(オレンジ色、緑色、赤色、青色の補足はサイト管理者)  拡大版

 

 

 

車道歩きが続く。

 

 

 

車道分岐。左手は登山口のすぐ下への道となるが、その先は通行できない。

 

 

 

訪れたときはゲートが設けられ、ハイカーも通行できないようになっていた。この先はリゾート開発地。
開発後、旧来の登山道(ハイキングコース)を一般開放してもらえたら有り難いのだが。

 

 

 

この道標は立てられている位置からしておそらく以前からの(旧ハイキングコースを下ってきた場合の)道標であろうが、ここにも新しい案内図。

 

 

 

ゲートをしり目に先へと進むと、生活協同組合前バス停。

 

 

 

日経新聞健保の保養所。

 

 

 

リゾートマンション「ドメーヌ」の辺りで眼下に熱海・東伊豆の景色が広がった。単調な車道歩きの中、思わず「おお」と声を上げる。下から上がってきて最初の大展望。これは素晴らしい眺めだ。

 

 

 

熱海港と熱海後楽園ホテル、その向こうに網代(あじろ)湾。

 

 

 

初島(はつしま)、伊豆大島も見える。

 

 

 

丁字路。ここは左へ。右へ行くとバス路線から外れて「七尾原」バス停に出る道となる。

 

 

 

「上七尾原」を通過。

 

 

 

「東京電子健保保養所前」を通過。

 

 

 

ニトリの研修センター入口まで来た。

 

 

 

丁字路に建つ道標。ここが現状の「七尾原の分岐」となる。

 

このすぐ右手に、バスを利用した場合の登山口最寄となる「日本IBM熱海ゆとりうむ前」バス停がある。「泉・湯河原方面」は路線バス循環時計回り(七尾団地先回り)。「伊豆山神社・伊豆山子恋の森方面」は循環反時計回り(七尾原先回り。今上がって来た道)。
なお現在では日本IBMの保養所だった建物は売却・リノベーションされ「ゆとりろ熱海」の名で営業している。

 

 

 

もう少しだけ車道の登り。

 

 

 

伊藤忠健保の保養所前を通過。

 

 

 

車止めの脇を通り抜ける。

 

 

 

送電線(高圧線)が交差するあたりで、階段が見える。そこが岩戸山登山口(標高472m)。

 

 

なお登山口を少し過ぎると、以前の登山道入口。ここから尾根の南側の林道を下って伊豆山神社本宮(奥ノ院)へと下りる山道は、2012年頃までの登山ガイドブックにはルートとして紹介されていた(一例としてヤマケイ「アルペンガイドNEXT山登り365日 首都圏起点240コース」)。

 

 

 

こちらは「この先通り抜けできません」とある。

 

 

 

舗装路の先へ進めば別の道があるかといえば、この先も行き止まり(そちらが「岩戸山ハイキングコース案内板」で白く消された道)。なお図中のバス停名は一部変更されている。七尾原循環線のバス停名は頻繁に変わっており、今後もまた変更があるかもしれない。

 

 

 

登山口の階段まで戻り、岩戸山へ向かう。時刻は午後1時。

 

現在の「七尾原の分岐」はニトリ研修センター入口上の丁字路、となる。

 

なお、1991年の「山と高原地図 箱根」では送電線の交差するこのあたりを「七尾原」(七尾原分岐、泉越峠とも)といって、伊豆山神社本宮へと下る道(かつてのルート)とここから七尾峠を経て湯河原(門川)へと下る道との分岐点としていた。
その後90年代後半までに車道の造成と企業保養所の進出が進み、現在の形となっている。時代は変わって保養所の売却・リノベーションなども見られるが、今後はリゾート開発が進みそうなので旧ハイキングコースのあたりはまた様変わりすることとなる。

 

 

 

なだらかな尾根道。

 

 

 

登山口から10分ほど経過。地理院地形図を携行していれば、送電線はこの先で現在地を確かめる目安となる。

 

 

 

剥き出しの根を張る大木。

 

 

 

送電線の下をくぐる。

 

 

 

送電線の下をくぐった先あたりから、土留の施されたなだらかな登りがだらだらと続く。

 

 

 

登山口から20分。尾根通しで歩いていると意味のなさそうな道標だが、この辺りで北側の林道から登ってくる道(地理院地形図の破線の道)が合流しているようだ(未確認)。

 

 

 

進行方向の右手(北側)に送電線の鉄塔。

 

 

 

登山口から歩き始めて25分、岩戸観音分岐まで来た。岩戸観音への道は地理院地形図に記載はない。

 

岩戸観音へはここから往復で20分ほど。下山までの時間を考えると少々時間が押していたのでパス。

 

 

 

岩戸山の山頂を巻くようにつけられている道(地理院地形図の破線の道)は、現状では通行できない。等高線に沿ったジグザクの道は豪雨ごとに水の流れ道となって斜面がえぐれてしまいがちなので、この道もどこかで崩壊しているのだろう。

 

 

 

新しい道標と手書きの図もある。

 

 

 

地元篤志家の方が設置して下さったと思しき岩戸山周辺の略図。岩戸観音まで進んだのち、岩戸山の山頂近くの鉄塔付近に上がれる急登ルートもある。そちらはロープが張られている崖地となる。

 

 

 

岩戸観音分岐から山頂へ向かう。まだ道はなだらか。

 

 

 

10分も歩くと傾斜がややきつくなってきた。山頂は近い。

 

 

 

 

 

 

 

岩混じりの道はちょっと大きい段差が続き、登山道らしい道になってきた。十国峠から岩戸山まで歩いた観光客が岩戸山から伊豆山神社に下ろうとするにはややきつい(そういう人たちは多分いないと思うが)。この道の下りは足ごしらえをした登山者・ハイカー向け。

 

 

 

 

 

 

 

鉄塔に到着。

 

 

 

道標には「直進 危険 急坂」とある。そちらは先に略図で見た、ロープの張られた崖地。

 

 

 

鉄塔を過ぎると山頂はすぐ。

 

 

 

岩戸山(いわとやま)山頂に到着。時刻は午後1時45分ごろ。

 

その名の響きは「天の岩戸」を彷彿させるが、どうも山名の由来がはっきりしない。明治期の地誌「増訂豆州志稿」でも特に由来の記載はなかった。

 

 

 

標高734mの岩戸山山頂はさして広くはないが、テーブルが一つ置かれている。

 

この日は強風で帽子が吹き飛ばされそうだった。カメラのズームがぶれてしまうような強風。

 

 

 

山頂からの眺めはすばらしい。手前の熱海市街から網代(熱海市)〜川奈(伊東市)あたりまでの岬を見下ろし、彼方に天城連山の山々を見る。

 

 

 

初島(はつしま)と伊豆大島。

 

 

 

初島。

 

 

 

白く伸びていく、高速船の航跡。

 

 

 

熱海港。熱海市街と初島を高速船が結ぶ。

 

 

 

城マニアとしては外す訳にはいかない(笑)、熱海城。
小田原合戦(天正18・1590)の際には小田原北条・幻の熱海水軍が豊臣軍の兵站を担った吉川(毛利)・長宗我部の軍船(兵糧)を相模湾の鯵のエサとすべく悉く葬り去った、なんていったら戦国ロマンなんだがな〜。

 

岩戸山山頂を後にして、日金山・十国峠へ向かう。

 

 

5.岩戸山から日金山・十国峠へ

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