まちへ、森へ。

富士箱根のすそ野、三島から箱根八里へ

2.三嶋大社

 

1.三島湧水群と旧東海道三島宿はこちら。

 

 

旧東海道に沿って三嶋大社へ。

 

 

 

ケヤキの古木が並んでいる。奥の木は境内の案内板によると樹齢750年を超える。

 

 

 

江戸時代の旧東海道に沿って立つ、三嶋大社の鳥居。
三嶋大社は伊豆国一宮。旧社格でいえば国幣大社。創建は不詳だが奈良時代以前に遡ることについては相違ない。
主祭神は大山祇命(おおやまつみのみこと)。浅間神社の祭神・木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の父であり、相州大山・阿夫利神社の祭神としても馴染みがある。

 

 

 

たたり石。現在の場所に移される前、かつては旧東海道・大社前の中央にあって行き交う人の流れを整理していたとされる。

 

この巨石は約2900年前、富士山の大規模な山体崩壊により発生した泥流がもたらしたと考えられている。泥流は御殿場から箱根の山裾を巻くようにして三島と小田原に流れ下っていった。たたり石はその時にゴロゴロと転がって運ばれてきたと推定される。
参考・伊豆半島ジオパーク公式サイト

 

 

 

若山牧水(わかやま ぼくすい)が大正期に詠んだ短歌の碑。

 

「のずゑなる三島のまちのあげ花火 月夜のそらに散りて消ゆなり」

 

 

 

神池(しんち)畔のケヤキ老木。樹齢650年。

 

 

 

参道をゆく。

 

 

 

神池。

 

 

 

厳島神社。鎌倉時代、北条政子が勧請したと伝わる。

 

 

 

総門。見事なしめ縄が掛けられている。

 

三嶋大社は鎌倉将軍家の守護神だった。源頼朝が篤く信仰し、伊豆山権現、箱根権現と併せた将軍家による「三所詣」の聖地として宗教上重要な意義をもった。
戦国時代には小田原北条氏も篤く庇護した。

 

 

 

宝物殿。

 

 

 

宝物館手前の湧水。こちらは箱根山系の伏流水とのこと。

 

 

 

芸能殿。これは旧総門が改築されたもの。

 

 

 

神馬舎の傍らにある、頼朝の腰掛石。右には政子の腰掛石。

 

 

 

神馬舎。

 

 

 

手水舎(ちょうずや)。その奥に回廊。

 

 

 

回廊。

 

 

 

回廊から見る、社務所北側の茶室「不二亭」。元は樋口本陣にあったこの茶室も、宿場町の時代を今に伝える建築物の一つ。

 

明治天皇が御宿泊の際にご利用になったというこの茶室は、茶室にしてはずいぶんと大きな二階建のような造り。これは富士の眺めがよくなるように床を高く上げたとのこと。

 

 

 

神門。

 

 

 

金木犀(キンモクセイ)の古木。樹齢およそ1200年。

 

 

 

神楽殿の、舞殿(ぶでん)。

 

 

 

御神水「生玉(いくたま)水」。こちらは富士山系の伏流水だそうだ。

 

 

 

生玉水の湧水が境内に流れをつくる。三嶋大社は、まさに「水の都」の総鎮守。

 

 

 

拝殿。嘉永七年(1854)の大地震で社殿は悉く倒壊し、慶応二年(1866)までに再建された、とある。

 

向拝(こうはい。せり出した屋根)周りには見事な彫り物が施されている。

 

 

 

唐破風(からはふ)の下には「天岩戸(あまのいわと)」。
岩屋から出てきた天照大神(あまてらすおおみかみ)の光が射す様子が彫られている。

 

 

 

その両脇の一方には「吉備真備(きびのまきび)の囲碁」。
吉備真備は遣唐使に随行、唐に留学した貴族。囲碁は古代中国の貴人の嗜み「琴棋書画(きんきしょが)」の一つ。

 

 

 

他方には「源頼政(みなもとのよりまさ)の鵺(ぬえ)退治」。
源頼政(源三位頼政)は平安末期の武士。以仁王(もちひとおう)の令旨(りょうじ)を奉じて平氏追討の旗揚げをした。

 

 

 

拝殿の奥に本殿。本殿と拝殿をつなぐ位置に幣殿(へいでん)がある「権現造(ごんげんづくり)」の社殿。

 

 

 

複雑な組物(くみもの)がみっしりと並ぶ、本殿。

 

 

 

参道に平行して、流鏑馬(やぶさめ)馬場。

 

 

 

馬場の脇、宝物館の奥あたりへ。

 

 

 

芭蕉の句碑「どむみりとあふちや雨の花曇り」。
どんよりとした雨模様の中あふち(栴檀。せんだん)の花が咲いている梅雨の情景を前に詠んだ、という。

 

 

 

神鹿園のシカ。

 

 

 

クスノキの大木。
「樹齢千年の大楠はどこだ?」と探してみたものの、探し切れない。バスの時間が押していたのでその代わりに一枚。周りには何も案内がなかったが、この木も十分大きい。

 

 

 

「三嶋大社前」バス停から鳥居の方面。

 

 

 

三嶋大社の前からは箱根旧街道・西坂を歩く人たちのための街道歩きルートが設定されている。
街道歩きルートはしばらくの間は三島の市街地を歩き、錦田一里塚のある「愛宕坂」、塚原・市の山地区の「臼ころげ坂」では国道一号あるいは旧道に沿って石畳の遊歩道も整備されている。

 

しかし今回は山中城跡、箱根関所もみっちりと訪問する計画のため、西坂のすべてを通しで歩いていたら日帰りでは到底収まらない。そこで前半を割愛して、学術的調査により石畳が保存、復元ないし整備されている中腹の「笹原」地区から旧街道を歩き始めることにする。

 

午前9時50分ごろ、「三嶋大社前」バス停から東海バス三島駅発「元箱根港行」または「山中行」に乗車し「笹原」バス停へ。
※なお令和四年(2022)3月末より東海バスでも「Suica」「PASMO」といった交通系ICカードが利用できるようになった。

 

 

3.箱根旧街道西坂へ

page top