まちへ、森へ。

南浅川(多摩川水系浅川支流)流域の森

多摩森林科学園、晩春の桜

 

平成29年(2017)の四月中旬から下旬へと移ろいゆく週末。
遅咲きの桜を観に、高尾(八王子市)・多摩森林科学園へ。午後は戦国時代末期の北条氏拠点、八王子城跡を巡る。

 

 

朝8時45分ごろ、JR高尾駅北口。北口駅舎は寺院建築風。

 

 

 

南浅川(みなみあさかわ。多摩川水系浅川支流)の上流側を望む。

 

 

 

廿里町。にじゅうりまちと書いて「とどりまち」と読む。

 

廿里町は永禄12年(1569)、北条対武田の合戦があったところ。武田信玄による小田原遠征の途上、滝山城(たきやまじょう。八王子市丹木町。小田原城の支城)城主北条氏照(ほうじょう うじてる。宗家第4代氏政の弟)の家臣が小仏峠を越えてきた武田の別働隊と一戦を交えた地となる。

 

 

 

八重桜(ヤエザクラ)や躑躅(ツツジ)の植栽。

 

 

 

高尾駅方面を振り返る。

 

 

 

森林科学園バス停をすぎると園入口はすぐ。

 

 

 

多摩森林科学園。ここまで駅北口から10分ほど。

 

 

 

案内図。
サクラのシーズンとなる4月は開園時間がやや延びて、午前9時から午後4時までになる。

 

国立開発研究法人・森林総合研究所の施設である森林科学園の森は、国立の研究施設として始まった。

 

 

 

入場券を購入して、森の科学館に立ち寄りパンフレットを入手する。

 

 

 

桜の時期は人出が多く、入口から第2樹木園を経てサクラ保存林に至る順路は一方通行に指定されている。

 

沢沿いの園路を奥へと進む。

 

 

 

落葉針葉樹のメタセコイア(あけぼのすぎ)。春は鮮やかな新緑、秋には黄金色に色づく。

 

 

 

新緑が美しい、4月下旬に差し掛かった晩春の森。

 

 

 

八重咲き淡紅色のサトザクラ「江戸」。

 

 

 

おお、まさかこんなところで「杉玉(すぎだま。酒林・さかばやし)」に出会うとは。もう「造り」の季節もお終い、という枯れた色合いだ。年末年始頃に来たら「新酒出来ました」という青々とした玉が吊るされているのだろうか?

 

 

 

第2樹木園を抜け、サクラ保存林まできた。ここまで園入口から10分余り。案内板のあたりで、道は「昭和林道」と「夫婦坂」に分かれる。

 

サクラ保存林の散策路は大まかに二通り。
ハイキング気分で歩くなら、林道や尾根筋を大きく周りながら見晴らしの良い高所を巡る道へ。一周で2時間足らず。
もっと手軽に巡るには、桜を間近に見上げながら歩く散策路(夫婦坂、仲通り、釣舟草(ツリフネソウ)通り)を巡る道へ。こちらは一周1時間足らず。

 

両者を巡るにはこの案内図辺りを起点・終点としてそれぞれを周回し、合わせて3時間もあればほぼ網羅できる。
それぞれの道は奥の「関山(かんざん)ベンチ」と称する大きなひな壇の休憩所で合流するので、夫婦坂・仲通り・釣舟草通りに尾根筋の一部(見返り通り)を組み合わせて部分的に巡ることもできる。

 

 

 

まずは林道、尾根筋を大きく巡る。「森のかんり室」前を通過。

 

 

 

染井吉野(ソメイヨシノ。エドヒガン×オオシマザクラ)が終わったこの時期、主役となるのは八重桜(ヤエザクラ)。

 

 

 

南関東の平野部や丘陵、山麓ではサクラの季節は概ね次のように移り変わってゆく。

 

早春の寒緋桜(カンヒザクラ)。お彼岸の頃は彼岸桜(ヒガンザクラ。エドヒガン)。三月末から四月初頭の季節には染井吉野(ソメイヨシノ)の他に大島桜(オオシマザクラ)、山桜(ヤマザクラ)など。
そして晩春のこの時期は様々な里桜(サトザクラ)が見られる。園芸品種の里桜は品種名がとても多く、姿かたちも様々。際立った特徴のある「鬱金(うこん)」などごく少数のほかは、その形状から「八重桜」と呼ばれる桜が多い。

 

 

 

昭和林道を登っていく。

 

 

 

八重咲きのサトザクラ「一葉(イチヨウ)」。

 

 

 

 

 

 

 

あずまやまで上がって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「松前更紗(マツマエサラサ)」。八重咲きの淡紅色。

 

 

 

「関山(かんざん)ベンチ」に到着。

 

 

 

関山ベンチの階段を下りていく。

 

 

 

お馴染みの濃紅紫色の八重桜はサトザクラ「関山(カンザン)」。

 

 

 

サトザクラ「駿河台匂(スルガダイ ニオイ)」。オオシマザクラの、それも薄く赤みがかった品種に似ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「市原虎の尾(イチハラトラノオ)」。白い八重咲き。

 

 

 

サトザクラ「御車返(ミクルマガエシ)」。すでに散り始め。

 

 

 

サトザクラ「御衣黄(ギョイコウ)」。黄緑色の花をつける。

 

 

 

 

 

 

 

開花したての頃は緑の強い黄緑だが、次第に黄色味が強くなりやがて薄桃色になっていく。そうなると「鬱金(ウコン)」との区別が難しい。

 

 

 

解説板によると「御衣黄」と「鬱金」は遺伝的にほぼ同一で枝変わりの関係にあるという。特に御衣黄は濃い緑色の花から鬱金と区別し難い花まで変異が多く、一部の枝に鬱金の花をつける御衣黄もある、とされる。

 

このあたりの枝は「鬱金」にしか見えない。

 

 

 

サトザクラ「江戸」。

 

 

 

見返り通りからの眺め。

 

 

 

サトザクラ「大沢桜(オオサワザクラ)」。花は終わり、葉桜状態。

 

 

 

関山ベンチ近くまで戻り、昭和林道と遠見通りの分岐から遠見通りへ。

 

 

 

エドヒガン「八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)」。ヤエベニシダレは花の時期がとても長い。

 

 

 

これはマツのようだが枝振りからしてクロマツではなさそう。何というマツだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「琴平(コトヒラ)」

 

 

 

「江戸」。

 

 

 

 

 

 

 

エドヒガン「雨情枝垂(ウジョウシダレ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駿河台匂」

 

 

 

 

 

 

 

「関山」

 

 

 

「八重紅枝垂」

 

 

 

里桜(さとざくら)園へ。

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「万里香(バンリコウ)」

 

 

 

 

 

 

 

「三ヶ日桜」

 

 

 

カスミザクラ「片丘桜」

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「普賢象(フゲンゾウ)」

 

 

 

柳沢林道を下りていく。
訪問時、彼岸通りは一部土砂崩れのため通行止めになっていた。

 

 

 

「普賢象」

 

 

 

「御所御車返(ゴショ ミクルマガエシ)」。ほぼ終わっているが、いかにも京都ゆかりの桜という風雅な名が印象的なので載せてみた。

 

 

 

ここまでほぼ二時間。林道・尾根筋からサクラを見下ろす桜巡りを終え、案内板のある分岐からサクラを見上げる散策路をめぐる。

 

 

 

夫婦坂へ。ここから仲通り、釣舟草通りと巡っていく。

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「松月(ショウゲツ)」

 

 

 

サトザクラ「楊貴妃(ヨウキヒ)」

 

 

 

 

 

 

 

「普賢象」

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「福禄寿(フクロクジュ)」

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「有明(アリアケ)」

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「鬱金(ウコン)」。淡い黄色、あるいは明るい黄緑色のサクラ。

 

 

 

色合いはやがて薄桃色へと移りゆく。

 

 

 

こちらの枝は黄色味の強い黄緑色。こうなると「御衣黄(ギョイコウ)」との区別が難しい。

 

 

 

サトザクラ「白妙(シロタエ)」。かなり薄紅色が進んでいる。

 

 

 

咲き始めの白妙は、その名の通り白い花。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「普賢象」

 

 

 

「八重紅枝垂」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サトザクラ「静香(シズカ)」

 

 

 

サトザクラ「太白(タイハク)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2樹木園の復路から、沢沿いの往路を見下ろす。

 

 

 

時刻は正午前。ここからバスで移動、午後は八王子城跡・城山を歩く。

 

 

多摩森林科学園から八王子城跡へ

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