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箱根の近代土木遺産と建築・庭園めぐり


5.箱根美術館庭園「神仙郷」

4.強羅公園・白雲洞茶苑はこちら




強羅公園の西門側に隣接する、箱根美術館。美術館のすぐ前、ケーブルカー公園上(こうえんかみ)駅が最寄駅。


箱根美術館の庭園観賞には、美術館入館料が必要。「箱根フリーパス」「トクトクきっぷ(登山電車・ケーブルカーのみの一日乗車券)」の提示で割引料金(700円。2016年現在)となる。




特別公開期間中の案内図。

箱根美術館は、宗教家である岡田茂吉により昭和27年(1952)に開館。庭園「神仙郷(しんせんきょう)」は昭和28年(1953)の完成。元は強羅公園(ごうらこうえん)の日本庭園であった部分を取得し整備された。
その意匠・構成が独特かつ良好に維持されている近代の造園事例として、国の登録記念物(名勝地関係)となっている。

紅葉のシーズンには、「苔庭」に加えて通常時は金・土・日・祝日限定公開の「石楽園(せきらくえん)」も無休で公開される。

神仙郷の名は、神仙思想(古代中国において仙人伝説などにみられる不老長寿を探究した信仰)を表現する庭園ということで名付けられたのだろう。




苔庭へ。




反橋から渓流を眺める。




みっしりと苔に覆い尽くされた、渓流。




玉石敷きの園路も、日本庭園における曲水(きょくすい)をイメージしたような印象。苔の瑞々しさ、紅葉の美しさも相まって、さながら立体屏風絵。




「光琳を その気にさすか 照紅葉」









苔むす巨岩、庭を染め上げる紅葉。




紅葉の森に広がる、ビロードのような苔。









曲水風の玉石敷き園路は、渓流に迫る巨岩を縫う様に流れ下っていくが如き。




茶室の、真和亭(しんわてい)。立礼(りゅうれい。椅子の茶席)で抹茶を頂ける。














富士見亭の光悦垣(こうえつがき)。




通常非公開エリアの日光殿前庭へ。









奥に見える茅葺屋根は、神山荘(しんざんそう。旧藤山雷太別荘。非公開)。




日光殿前庭の滝。




巨岩を組み、仙人が修行する岩峰を表現したかのような庭。









石楽園(せきらくえん)へ。




芝の築山とツツジ、巨岩が織りなす庭園。その高みには観山亭。




苔庭と同様に、あるいはそれ以上に強羅の原風景を思い起こさせる巨岩のはざまで、苔から芝へと近代日本庭園の主題は移りゆく。そして、こちらでもまた、ゆるやかに曲線を描く園路。




石楽園から望む、大文字山(だいもんじやま。明星ヶ岳)。




強羅のいたるところから見られる大文字山は、それぞれの庭園にとって大切な借景。




観山亭への園路に架ける石橋。









観山亭。背後には青瓦の美術館本館。









再び苔庭へ。









美術館へと延びる園路には、竹庭。









萩の家。









箱根美術館を後に、ケーブル駅へ。




公園上駅から、早雲山駅(そううんざんえき。標高750m)方面。箱根火山の中央火口丘である早雲山(1244m)中腹の駅から先は大涌谷(おおわくだに)を跨ぐようにロープウェイが延びていく。




途中駅は4駅あり、ケーブルカーにしては多い。

明治後期から大正期にかけて温泉付き別荘地として進められた強羅の開発。戦時中にはケーブルカーは不要不急の路線として営業停止に追い込まれ、再開したのは昭和25年(1950)。その後の強羅は旅館・ホテル、観光施設というように再生が繰り返された。

現在では早雲山の山すそに広がる強羅の街を貫く箱根周遊ルートの大動脈として、ケーブルカーは欠かせない存在となっている。




強羅駅(標高541m)方面。









最後も、大文字を眺めつつ。




強羅駅で乗り継ぐ登山電車。やって来たのはレトロな雰囲気がいい旧型車両。正面がV字なのは昭和30年代の塗装の復刻とのこと。ドアの足元がステップのようになっており車内の床より一段低くなっている。


時刻は15時30分過ぎ。今回の締めは「彫刻の森駅」で途中下車し、箱根町社会教育センター(二ノ平)へ。受付窓口(〜17:00)にて「箱根の近代建築(ワンコインシリーズ)」を購入する。なお同書は湯本の町立郷土資料館でも取り扱っているが、そちらは閉館時刻に間に合いそうにない。

「富士屋ホテル」「旅館建築」「別荘建築」の三冊を揃えれば箱根の近代建築の概要を網羅できる。建物の平面図も載っており、近代建築マニアにはお勧め。


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