平成26年(2014)5月上旬。相模湾側から渓谷を遡行し分水嶺を越えて東京湾側へ、三浦半島を横断する山歩き。
1.逗子・葉山駅から森戸川渓谷・旧大山林道
三浦半島で最も深い森の広がる森戸川源流部。このページは平成26年(2014)5月に旧大山林道を歩いた当時の記録となる。
風薫る五月。京浜急行・新逗子駅(現在は逗子・葉山駅)南口。
案内板。国道134号線・渚橋(なぎさばし)を経て、逗子海岸の砂浜が近い。
県道を長柄(ながえ)方面へ、桜山(さくらやま)隧道を抜けていく。
向かって右には、平成22年(2010)完成の、新桜山隧道。
新トンネルができるまでは狭くて歩くには怖いトンネルだったが、上下線分離になって格段に歩きやすくなった。
長柄(ながえ)交差点。ここを左折。
左折した先は逗葉新道(ずようしんどう)へ通じる。
歩道橋上から行く先を見る。阿部倉山(あべくらやま)から二子山(ふたごやま)にかけての山々が見える。道に沿って流れる川が、森戸川(もりとがわ)。
川久保交差点。ここを右折し、旧道を奥へ行く。
正面に阿部倉山。突き当りの手前を右折して、大山(おおやま)集落へ。
二子山はその昔、新編相模国風土記稿(江戸時代後期の地誌)では「大山」と記されていた(「巻之百九三浦郡巻之三衣笠庄長柄村」)。
木の傍らに石仏。
天保十一年(1840)と彫られている。
岩穴の石祠には、恵比寿さまと大黒さま。
黄金橋(こがねばし)を渡ると、いよいよ森戸川渓谷。
車止めのゲートが設けられている。
立入禁止と掲示されたゲート。静かに散策に利用するなら格別、森林所有者・管理者にとって問題視される行動には厳しく対処するという意思の表れと見られる。
現在は正式には「林道」ではなく作業道。かつて管理していた葉山町森林組合は平成20年(2008)に解散した。この森を取り巻く社会環境は変わってきている。
大山林道には、欄干のない橋がいくつか架かっている。最初の橋から、渓流を見下ろす。
現地に掲示されている、山域の概念図。
尾根に囲まれて細長く奥に延びる森戸川流域は、森に降った雨を森戸川渓谷の谷底に集める。
最初の橋の近く、沢に下りる踏み跡がある。
全長およそ2qのこの道は大山林道(森戸林道)として地域に住まう方々をはじめハイカーやバードウォッチャーといった人々に親しまれてきた。
奥へと進んでいく。
再び、渓流への踏み跡。
今度は広い河原。
新緑が映える沢のせせらぎが、綺麗だ。
二つ目の橋から見下ろす。手前の踏み跡から下りて、橋の下をくぐって歩くことができる。
風水害の爪痕。道はところどころ、荒れている。
ハンミョウ。体長2p位、まだら模様の光沢が美しい小さな虫。人の歩く前を、ピョーンピョーンと跳ねていく。
ここでは5月のシーズンに訪れると数えきれないくらい目にする。それは以前も今も変わっていない。
三浦半島中央道路。渓谷をまたぐ橋はシェルターで覆われている。左手に「南郷トンネル」、右手には「竜神トンネル」。シェルターを挟んで両者は実質一体化し1300mほどの長いトンネルになっている。
渓谷の沢筋は森の命を育む、森戸川源流域のいわば核心部。道路計画が明らかになった当初、渓谷をまたぐ部分はどうしても地上に出てしまうため影響が懸念されていた。
建設にあたり、自然環境への配慮によりシェルターで覆うという方式がとられた。
野鳥繁殖期のこの季節、オオルリのさえずりが森に響き渡る。バードウォッチング愛好家にとって華やかなスターであるオオルリは、ここでは5月になるとほぼ確実にそのさえずりを耳にすることができる。高木の梢に見られるその姿は、瑠璃色(るりいろ)がとても美しい。
動植物の生息域として、とりわけ5月の繁殖期に日本に渡ってくる小さな美しい野鳥たちにとっては貴重な、広くて深い森。
ここにも台風の爪痕。
砂防堰堤を過ぎていく。
光沢感ある青色の、カワトンボ。
林道終点。沢は二又に分かれていく。
山に不慣れな人は、ここまで。ゆっくり散策して一時間余り、ここまででも一般的な森歩きは充分に楽しめる。
「中ノ沢」沿いは、二子山(上の山)への道。
画面右手には、「中尾根(なかおね)」に上がる細い踏み跡の登山道。中尾根は「中ノ沢」と「南ノ沢」を分ける分水嶺。南中峠(みなみなかとうげ)に通じている。
ここから中ノ沢伝いに、二子山をめざす。
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