三溪園〜晩秋
恒例行事となっている紅葉の古建築公開。ただ、平成24年(2012)は紅葉の時期としては初めてとなる臨春閣の内部公開があった。そこで臨春閣の屋内、とりわけ浪華の間からの紅葉をお目当てに三溪園へ出向く。
12月初頭、正門の桜の紅葉は散ってしまった。
いつもの風景も、錦の装いに。
観心(かんしん)橋。
御門(ごもん)から、内苑(ないえん)へ。
白雲邸(はくうんてい)。三溪が、晩年を過ごした。
臨春閣(りんしゅんかく)玄関。臨春閣は、紀州徳川家ゆかりの別荘建築。
この年は、紅葉の時期としては初めて内部が公開された。
モミジの紅葉が本格化するのは最低気温が7℃前後になったころ。南関東平野部では例年だいたい11月下旬ごろから。
玄関内部から。これは期待できそう。
玄関棟から、第一屋。
第一屋「瀟湘(しょうしょう)の間」越しに見る裏庭。
「瀟湘の間」から「花鳥の間」。
第二屋「琴棋書画(きんきしょが)の間」より「浪華(なにわ)の間」「住之江(すみのえ)の間(上段の間)」。
浪華の間越しの、庭園。紅葉を纏う、亭しゃ(木へんに射。ていしゃ)。
亭しゃと、第三屋。
「住之江の間」越しに見る裏庭。
「住之江の間」より「浪華の間」「琴棋書画の間」。
第三屋からの庭園。
第三屋「天楽(てんがく)の間」「次の間」。
次の間の「火灯口(かとうぐち)」の意匠は、二階「村雨の間」への昇り口。村雨の間は、三方吹き放ちの間。紅葉の季節は、二階の室内からの目線で眺める眼前の紅葉はさぞ見事だろう。機会があれば、ぜひ見てみたい。
第三屋から、庭園へ。
秀吉ゆかりの旧天瑞寺(てんずいじ)寿塔(じゅとう)覆堂(おおいどう)も、内部公開された。
鬼瓦、丸い巴瓦には、豊臣の家紋「五七桐(ごしちのきり)」。
覆堂の天井。格子状の天井が一段持ち上がった、折上格天井(おりあげごうてんじょう)になっている。
聴秋閣(ちょうしゅうかく)へ。徳川家光ゆかりの楼閣建築。
聴秋閣も、内部公開された。
入口に、木製のタイルが敷かれている。
非対称の、独特な形状。
渓流のほとりに配したことで、かつてこの建物が小舟で乗り付けられていたことを想起させるようになっている。
二階楼閣の火灯窓越しに眺める三重塔もまた、機会があればぜひ見たい景観。
ほの暗い聴秋閣周辺のモミジは、まだまだ青みがかっている。
渓谷の遊歩道が一般公開される時期ならではの、景観。
月華殿(げっかでん)へ。月華殿は、徳川家康ゆかりの建築。
伏見城の大名控えの間であったという前歴から、さらにいくつかの地を経てこの地に移築された。
春草蘆(しゅんそうろ)。春草蘆の一部をなす織田有楽斉ゆかりの九窓亭(きゅうそうてい)も、内部公開された。
春草蘆・九窓亭内部。三畳半より若干広い、三畳台目(さんじょうだいめ)の茶室。
にじり口から、床(とこ)・通い口を見る。
窓から見れば、亭主の出入りする口は左右に。右に見えるのは火灯口(かとうぐち)。火灯口の手前が、台目畳(だいめだたみ。およそ四分の三畳)の敷かれる場所。
春草蘆の平面図。
平面図左側の、横T字部分が元の九窓亭。上のでっぱりが床(とこ)、下のでっぱりが台目畳。
右側の大きな部分が三溪が増築した水屋(みずや)と広間(ひろま)。両側一体で春草蘆と名付けられた。
春草蘆から蓮華院(れんげいん)にかけての庭園。
左に亭しゃ、右に臨春閣、奥に聴秋閣。
内苑を後に、外苑へ。
外苑の渓流。
旧東慶寺(とうけいじ)仏殿。
横笛庵(よこぶえあん)。
寒霞(かんか)橋。
錦絵の如き、旧燈明寺(とうみょうじ)三重塔。
大池ほとりの、観心(かんしん)橋へ。
大池から三溪記念館越しに、内苑の方向を見る。
二十四節気「大雪(12月5日過ぎ〜)」の頃
※平成23年(2011)の画像となります。
冬晴れの、正門。
「やあ、おはよう」「寒いニャ〜」
御門(ごもん)から内苑へ。
臨春閣前の庭園も、紅葉の盛りは過ぎつつある。
聴秋閣へ。
この年、桧皮葺(ひわだぶき)の葺き替えがなされたばかりの聴秋閣は、雨戸が全て引かれた姿。
渓谷の遊歩道も、そろそろ一般公開が終わる。
モミジにも、だいぶ紅が乗ってきた。
月華殿。
内苑奥は、まだまだ紅葉の盛り。
蓮華院。
内苑から、外苑へ。
外苑の渓流。
旧東慶寺仏殿。この年は、内部公開された。
東慶寺は鎌倉時代後期の禅寺。この仏殿は江戸時代初期の禅宗様建築。
天井は格子状の格天井(ごうてんじょう)、壁に火灯窓(かとうまど)。
横笛庵(よこぶえあん)。
横笛庵も、公開された。
横笛庵の名の由来となった、横笛の像。この像は、第二次大戦の被害により失われてしまった。
寄棟造(よせむねづくり)の茅葺屋根は、屋根裏に天井板が張られていない。
草深い辺境の庵(いおり)、といった趣き。
山茶花(さざんか)も咲き、本格的な冬到来も間近。
このサイトは(株)ACES WEB 「シリウス2」により作成しております。