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山北町・大野山フェスティバル


神奈川県足柄上郡(あしがらかみぐん)山北町(やまきたまち)・大野山(おおのやま)フェスティバルのアルプホルン演奏を楽しみに、西丹沢前衛の山・大野山(723m)に登る。

大野山はなだらかで広々とした山頂に県営乳牛育成牧場が広がる、丹沢では異色の牧歌的な山。晴れていれば箱根から富士山、西丹沢主稜線や三保ダム(丹沢湖)の眺望がすばらしい。

今回はJR御殿場線(ごてんばせん)谷峨(やが)駅を起点に、大野山ハイキングコースを大野山山頂へ。下りは山頂から山北駅へのハイキングコースをたどり、御殿場線の線路沿いに山北駅までを歩く。
ハイキングコースにはしっかりした道標が設置されており、天候が良ければ初心者でも気軽に登ることができる。
とりわけ谷峨駅からのコースは歩きにくいところもなく安全安心なルート。
一方、山北駅からのコースは登山道らしい雰囲気をもち特に下りに使う時は若干歩きにくいところもあるので山歩きに慣れていない人は充分に注意したい。
いずれにしても足回りはしっかりしたトレッキングシューズで。ジーンズは汗で貼り付くと歩きにくくなるのでドライ素材のパンツ(ズボン)を着用すると足の運びが楽。

なお、山頂がなだらかな牧場になっているこの山は山頂直下まで車道が通っているので車で登ることもできる。フェスティバルの時は駐車場が大混雑する。




平成25年(2013)11月2日。朝7時50分。
小田急線新松田駅から乗り換え、JR東海・御殿場線(ごてんばせん)松田駅。有人駅だがICカード非対応なので切符を買って乗車。

駅のホームから、画面右手に松田山(まつだやま)ハーブガーデンの白い建物が見える。




小田急・JR直通の、ロマンスカー「あさぎり」。




松田駅では「松美酉(まつみどり)」を醸す松田町(まつだまち)の蔵元・中澤酒造の煙突がホーム先端から見える。




谷峨(やが)駅に到着。普段は静かな無人駅も秋の大野山フェスティバル当日とあって、たくさんの人が降りていた。




乗ってきた三島行きの列車を見送る。谷峨の次はもう静岡県の駿河小山(するがおやま)駅。




松田・国府津(こうづ)方面。
帰りもこちらの駅に下りてきた場合、無人駅からの乗車になるので乗車時には整理券を取って下車駅で精算する(ワンマンの場合)か、巡回する車掌さんに精算してもらうことになる。




画面中ほどに大野山登山口の吊り橋主塔が見える。




県内では珍しい、構内踏切。駅舎と反対側(松田・国府津方面)のホームへはこの踏切を渡っていく。




駅前から、登山口へ。時刻は朝8時30分。標高は160m




跨線橋を渡る。




東名高速下り線・東名酒匂川橋(さかわがわばし。谷峨高架橋)。
昭和44年(1969)竣工。白い橋脚に赤いあざやかなトラスが印象的なその姿は東名高速全線開通記念の切手図案としても選ばれた。



完成当時東洋一の橋脚を誇った(最大で直径7m・高さ65mが2基、計8基)その姿は、富士山ともども東名を代表する景観にふさわしい。
完成後には安全確認のため耐震実験も行われた、という。現在では渋滞解消のため新たな上り線が建設されたのに伴い下り線右ルート・左ルートとして運用されている。

高架橋の下は左に御殿場線、中央に国道246号。西丹沢の山奥・中川温泉への大きな案内看板が見える。右には東京電力嵐(あらし)発電所(水力発電所)。




この発電所、運転開始は大正9年(1920)というから、結構古い。




田んぼの水路沿いに、左奥の吊り橋へ。右奥に見える橋は、東名高速上り線。




人数制限のある、吊り橋。




酒匂川(河内川)の渓谷を見下ろす。




うっすらと紅葉も始まっている。









川沿いから離れ、右へ上がっていく。









谷ケの集落を見下ろすところまで来た。




ここからは山道の登山道。時刻は朝9時。




谷峨駅からの登山道は、歩きやすい。




途中で車道に出る。目の前には桜の大木。




奥山家(おくやまが)古道の案内板。
大野山の周辺は、かつて江戸時代の頃には周囲の村々を一括りにして西山家(にしやまが)と呼び、西山家のうちさらに奥まったところ(現在の丹沢湖・三保ダムより上流の玄倉(くろくら)・世附(よづく)・中川)は奥山家(おくやまが)と呼ばれていたという。




都夫良野(つぶらの)の頼朝桜。頼朝にちなんだ伝承がある。




バイオトイレが備えられた休憩所。




時刻は9時20分。 ハイキングマップ拡大版。




ススキの草原、牧草地が広がる山頂が見える。




明るい植林地。




再び休憩所。休憩所がたくさんあるのも、ハイキングコースならでは。




見晴らしの良いところに出た。朝10時。




ススキの草原が斜面を覆う。




標高723mの頂上まで、あと少し。




山頂下の牛舎と「まきば館」のあたりが見える。









眼下には足柄茶の茶畑が。









見晴らしのよい休憩所。









牧草地まで上がってきた。




大野山フェスティバルののぼりが立つ。




山頂に到着。10時35分。約2時間かけて、のんびり登ってきた。




晴れていれば大展望の山頂だが、あいにくの天気。




平成13年(2001)2月の山行記録より。
現在はまきば館もある牛舎のあたり。そのむこうに雪を頂く丹沢の主峰・蛭ヶ岳(ひるがたけ。1673m)が見える。
雪を被った向こうの稜線からこちら側を見下ろすと、大野山は本当に小さく見える。こちらのページのパノラマへ。



西には茶畑と富士山。



山頂の牧草地は真っ白な雪原に。



谷峨駅側登山道からの箱根・富士山。 拡大画像



山頂からの富士山・西丹沢と三保ダム・丹沢湖。 拡大画像

積雪の山はところどころ凍結もあり、もはや一般にイメージされるハイキングとは言えないのできちんとした装備で登りたいところ。



平成15年(2003)12月の山行記録より。
三保ダム(丹沢湖)。ダム堤の両側を支える岩盤が脆いため、ロックフィルダム(コンクリートではなく芯に遮水壁を設けて岩石を積み上げる)という形式になっている。コンクリート製の洪水吐(こうずいばき)は、草で覆われた長いダム堤のほんの一部。




ダムのすぐ下はダム広場。公園内には三保ダム・丹沢湖を縮小して再現した庭園もある。ダム右岸の岩盤もきっちりと再現されており芸が細かい。



丹沢湖に見立てた池。



ダム湖に架かる永歳橋もよくできている。
なお大野山山頂から三保ダム・丹沢湖へと降りる尾根の登山道は一般ハイキング向けではないので、山の準備をしっかりしたうえで歩きたい。




大野山山頂の祠。




登山・ハイキング客、車利用の観光客、自転車(ロードバイク)で登ってきた人々、さまざまな人が行き交う山頂。




午前11時、大野山フェスティバル開幕。主賓の挨拶。
「神奈川県で畜産というのはあまり馴染みがないかもしれないが神奈川は横浜の開港以来いち早く日本の畜産業が始まった地でもあり・・」といった趣旨の挨拶もあった。




お楽しみの一つ、神奈川県産の牛肉でバーベキュー。




一皿100円のチャリティー。




無料配布されるきんたろう牛乳。









地場産品テントで売っていた手作り鬼ゆずジャム。
ほかにも鹿肉のフランクやらヤマメの塩焼きやら足柄の味覚が満載で盛況だった。




牛が行き交う牧草地。




まもなく冬が到来、牛たちの放牧シーズンも終わる。




そうこうしているうちにもうお昼、恒例の玉川(たまがわ)アルプホルンクラブによる演奏。
ずらりと並ぶ、アルプホルン。




スイスの民族衣装に身を包んだ玉川アルプホルンクラブの面々が集まってきた。
厚木市玉川公民館のアルプホルン教室からスタートしたというこのクラブは、東丹沢山麓・神奈川県厚木市七沢(ななさわ)を拠点に手作りのアルプホルンで活動しているそうだ。




正午から演奏開始。つかみはアルプスの少女ハイジのテーマが響き渡る。




スイスの民族音楽がアルプホルンで奏でられてゆく。




スイスアコーディオンでの演奏。
会場の観客も用意されたスイス国旗を一緒に振りながら、大盛り上がり。




いくつものカウベルを用いて、ハンドベルのように音色を奏でる。




演奏会のあと、チェーンソーアートの会場へ。




大きな案内板。右下へ下りていくハイキングコース(至古宿)が山北駅側の登山口へ続く。




作品制作も佳境に。




まきば館ではバターづくり体験も。




牧場の立体模型。

大野山乳牛育成牧場は総面積約94ヘクタール(100m四方×94)、傾斜地に広がる放牧地も58ヘクタール余りの広さがある。
広い放牧場を持たない県内の酪農家から、若い雌牛たちがここに預けられる。のびのびとした環境で牛たちは足腰を鍛え健康に成長し、やがて酪農家のもとへ帰ってゆく。




牛舎と放牧地の間を移動する牛たちの行列。

夏の大野山は低山ゆえの暑さもある。水分をしっかり用意し、水分補給は万全に。
一般に山歩きで必要とされる水分量を求める式は、体重(s)×時間(h)×5。
たとえば体重60sの人が4時間歩く場合に用意する水分量は、60×4×5=1200t。









平成11年(1999)8月の山行記録より。




午後1時15分。帰りは山北駅側へ下ってゆく。









こちらにも標高の案内が。




山北駅側の登山道は路肩が痩せているところもある。









足場の良くない岩がちな急傾斜もある。
山北駅からの登山道もハイキングコースとされているが、あくまで登山が趣味の人から見ればハイキングということであって、そうでない人にとっては部分的には充分に登山道であると思ってもらっていいと思う。









路面が濡れているときは非常に滑るので、初心者のハイキングではそのようなときは無理をせず谷峨駅側に下りた方がいい。
それでも立ち寄り湯などの関係で山北駅側に下りたいときは、単調な歩きになってしまうが山頂からハイキングコースを使わず初めから車道を歩く(深沢経由)という手もある。時間的には大差ない。

あれこれ書いてしまったが、山道の歩きにくさという点では神奈川東部でいえば北鎌倉天園から円海山緑地へのハイキングコース(北鎌倉駅〜明月谷〜勝上献〜天園〜横浜鎌倉市境広場。あとは金沢自然公園、氷取沢市民の森、瀬上市民の森のいずれかへ)を余裕を持って歩けるならおそらく大丈夫だと思う。あとはこちらの方が標高が高い分、登り始めのオーバーペースにだけは気を付けて。




午後2時過ぎ、山道の終わり。




初心者向けには下りよりは登りに使われることの多い、山北駅からの登山道。




ここからは舗装路を下りてゆく。




学校跡の脇に出た。









山間(やまあい)の学校、旧共和小学校。子どもも少なくなってしまい、平成23年(2011)3月でとうとう閉校となった。




古宿集落に広がる、足柄茶畑。




集落を抜け、下りていく。









広い車道まで下りると、道標がある。ここまで古宿経由で登山道を降りてきた。山頂を初めから車道で下りてきたとき(深沢経由)はここで合流する。




東名高速の新鍛冶屋敷橋。









麓まで下りてきて、安戸(やすど)トンネルを抜ける。




となりの新トンネルと比べると、旧トンネルは本当に小さい。




樋口橋(とよぐちばし)の交差点。山北駅への道案内も出ている。右へ1q行くと、南関東屈指の名瀑・洒水の滝(しゃすいのたき)。




単線の、御殿場線。

明治時代中期、鉄道が延伸されてきたころは国府津(こうづ)から先の小田原方面はまだ開通しておらず、箱根の山を迂回する御殿場線が東海道本線だった。峠越えを控えた山北駅には複数の機関車を連結するための機関区が置かれ、山北は鉄道の町として活況を呈した。

のち、技術の進歩により昭和9年(1934)丹那(たんな)トンネルが開通すると東海道本線は現在の線になり、それまで東海道本線だったこの線はローカル線の御殿場線となる。やがて物資不足の戦時中に片側のレールが撤去され複線から単線とされた。今でもトンネルなど複線時代の遺構が所々に残っている。




桜の植わった土手の下を線路が通り、道端には水路が流れ屋敷が続いていく。落ち着いた雰囲気の町並み。




山北駅前の通りに出る。山北駅から大野山に向かう時は、河村城址の案内に従えば今来た道をたどることができる。




午後3時15分、山北駅前。標高110m。
山を下りての楽しみの一つ、駅前の酒屋で土産に地酒を購入。




山北町(やまきたまち)の蔵元・川西屋(かわにしや)酒造店の純米吟醸酒「丹沢山(たんざわさん)」。
県内産の酒造好適米「若水(わかみず)」を使って造られている。

淡麗か芳醇かといわれればやや芳醇、辛口か甘口かといえば酒質(日本酒度など)的には甘口ではないが鼻を抜ける香りは甘くてフルーティ。とはいえものすごく香るというのではなく穏やかな香り。好みに合えばきっと病み付きになると思う。ひとつ気を付けたいのは開栓後は味がへたるのが早いのですぐ飲みきった方がよいかも、ということ。




JR御殿場線山北駅。黒瓦の、味わいあるレトロな木造駅舎(大正13年・1924築)は健在。赤い円筒形のポストも現役。JR東海の職員は常駐しなくなったが、地元のNPO法人によって窓口に人が詰めるようになっている。
駅の背後には大きな健康福祉センターが建つ(平成16年・2004年オープン)。山帰りに一風呂浴びるのに便利になった。




さくらの湯。石灰岩原石を用いた人工温泉の日帰り入浴施設。




さっぱりして、帰路へ。




夕方5時を回ると、すっかり日暮れ。日が短くなった。


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