令和元年(2019)11月末。澄み渡る晩秋の一日、相模野の里山をめぐり歩く。
県立座間谷戸山公園
県立座間谷戸山公園は里山を公園化した広さおよそ30ヘクタール(100m四方×30)の公園。谷戸の源頭部からの豊富な湧水が池をつくる。園内は府中街道の古道が通り、鎌倉時代までの星谷観音の本堂跡となる「伝説の丘」がある。
県立座間谷戸山(ざま やとやま)公園の南入口。
ここまで、相鉄線さがみ野駅から巡礼街道(坂東三十三箇所観音霊場第八番札所・星谷寺への参詣路)を45分ほど歩いてきた。
さがみ野駅からの巡礼街道はこちらのページへ。
公園案内図
座間谷戸山公園は平成5年(1993)の開園。面積およそ30ヘクタール(100m四方×30)の里山が公園として整備された。
南入口から外周を廻る。
ボードウォークが整備された園路。
このあたりはマップではスギ・ヒノキの観察林とあるが、クヌギ・コナラといった薪炭に利用されてきた里山の木々のほか、関東南部における本来の植生であるシラカシも混在している。
ログハウスへ寄り道。
ログハウス。
ログハウス裏の池。
野鳥観察小屋。
目の前に広がる、バードサンクチュアリ(野鳥の聖域)。稲刈りの済んだ谷戸田と、はざ掛けされた稲わらが見える。
外周は谷戸山の尾根筋。標高は7〜80m。
バードサンクチュアリを見下ろす。
解説板が設置された、イヌシデの樹。
「森の学校」と名付けられた広場。
こちらは針葉樹のサワラ(椹)。解説板にもあるが、ヒノキとそっくり。
「みちくさ広場」のエノキの大木。
東入口のパークセンターへ下りていく。
円形の東入口広場。
パークセンター。
「ふれあい広場」に戻り、先へと進む。
尾根をたどっていく。この尾根道は府中街道の古道にあたる。
「伝説の丘(本堂山)」へ。
紅葉が美しい。
鮮やかな、照り。
「伝説の丘」頂上。
鎌倉時代ごろまではこちらに星谷観音の観音堂が建っていた。頼朝によって坂東三十三箇所観音霊場が整えられた当初はこちらが参詣の目的地だったことになる。
古道や石造物の解説板。
昔の谷戸山を描いたイラストマップ。
公園の西入口から水田にかけての辺りは、古くは「大坊谷戸(だいぼうやと)」といった。「大坊」とはむかし瀧谷山現星寺という修験寺があったことから付いた名。もとは「星の谷」といい、星谷寺の名の起こりとなった。
サンクチュアリの広がる谷戸の辺りは「蛇穴谷戸(じゃあなやと)」といった。「蛇穴」は「龍穴」と同じで水の湧き出るところ、という説がある。東洋では龍は水を司る神獣。神社の手水舎には口から水を出す龍が見られる。なお西洋では獅子がそれにあたり、明治期にイギリスから輸入された公共水栓の「獅子頭共用栓(ししがしらきょうようせん)」は現在でも横浜の水道記念館など各所に残っている。
参考「座間市地名 字名とその由来」
星谷観音は天平年間に諸国を巡錫(じゅんしゃく)した行基が観音像を納めて創建したと伝わる。そのきっかけとなったのは、村に伝わっていた伝説だった。
ざっと筋を追うと、鳴動する大地におののく村人と法華経を唱える僧、そして光に満ちた観音様の出現。その後も僧は法華経を唱え続け、やがて成仏する大蛇。時を経て行基がこの地を訪れ、行基の手による観音像を納めることと相成った。
尾根から谷へ。
西の空には遠景に箱根の山々、手前に大山南尾根。
大山。
大山北尾根の向こうには丹沢の山々。
里山の秋。
「水鳥の池」への園路を右手に分け、「わきみずの谷」へ向かう。
わきみずの谷。
木道が整備されている。
解説板。
谷戸山公園の湧水は谷戸の源頭部から水が湧くタイプの湧水。
最奥に整備された井戸のオブジェから湧き出る湧水。
谷戸の湧水は谷戸田を潤しながら流れ下り、鳩川(はとがわ。相模川水系)あるいは相模川左岸に整備された用水路・排水路から相模川へと合流していくようだ。
「わきみずの谷」から引き返し、池へ。
「水鳥の池」。
湿生生態園。
谷戸田。
西入口に建つ、立派な長屋門。
里山体験館。屋根窓の「高はっぽう」を付けた養蚕農家の古民家(川崎市日本民家園(その2)旧菅原家住宅を参照)を模した造りとなっている。
南入口へ。
南入口への近道を登っていく。
南入口の広場。
南入口からは星谷観音へ「巡礼街道・ほしのや道」古道が通っている。
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