まちへ、森へ。

梅(ウメ)

湯河原梅林と鎌倉幕府開運街道めぐり

 

平成30年(2018)3月最初の週末。ようやく見頃を迎えた湯河原梅林(幕山公園)に観梅に行く。この年は寒い日が続いたことで梅の開花、見頃は例年より大幅に遅れた。

 

観梅の後は幕山(まくやま)山頂へ。山頂からは源頼朝ゆかりの「鎌倉幕府開運街道」を「自鑑水(じがんすい)」「しとどの窟(しとどのいわや)」と歩き、城山(土肥城址)へと巡っていく。

 

1.湯河原梅林

 

 

JR東海道線・湯河原駅前。海抜およそ30m、海に近いようでいて意外と標高は高い。

 

時刻は朝の8時30分ごろ。「梅の宴」の時期には幕山公園(湯河原梅林)行きの臨時バスが8時台から出ているが、バスのりばは早くも大行列。一度に全員が乗り切れないくらいの列ができている。

 

駅前ロータリーに見える後ろ姿の銅像は平安末期〜鎌倉初期の土肥郷(どいごう。現湯河原町)の領主、土肥実平(どいさねひら)とその妻。石橋山の合戦(治承四・1180)で大敗し窮地に陥った頼朝を箱根権現の別当らとともに支えた。彼なくして頼朝の生還はほぼ絶望的だったであろうし、頼朝が鎌倉幕府を開くことも叶わなかっただろう。

 

 

 

9時過ぎ、幕山公園に到着。この辺りで標高およそ185m。湯河原梅林は観梅の季節には有料(維持協力費程度)となる。

 

幕山橋越しにみる、湯河原梅林。総数4,000本の梅林は幕山の山すそに広がっている。
幕山は箱根における初期の外輪山(古期外輪山)の外側で噴火した寄生火山(側火山)。粘り気の強い溶岩ドームの山体。 

 

 

 

梅林の上方にはきれいな岩壁。幕を張ったような姿から幕岩(まくいわ)と呼ばれ、幕山の名の由来となっている。

 

幕岩には柱状節理(ちゅうじょうせつり。溶岩が冷されて縮んだ時にできた柱状の割れ目)が見られる。幕山の柱状節理は二種類の溶岩(火山岩)で出来た灰色(デイサイト)と白(流紋岩・りゅうもんがん)の二色模様になっている。
デイサイトは箱根周辺に大量に分布する火山岩の安山岩(あんざんがん)に似た石。流紋岩は幕山周辺のそれは石英を含み白っぽい。

 

 

 

管理棟へ。ここで「湯河原梅林散策ガイド」「鎌倉幕府開運街道」のパンフレットを入手。

 

 

 

管理棟前の枝垂れ(しだれ)紅梅は人気の園芸品種「藤牡丹(ふじぼたん)」。遅咲きの品種だが、だいぶ花開いた。

 

 

 

その隣には一本の木で紅白に咲き分ける「思いのまま(輪違い・りんちがい)」。こちらはかなり遅咲きの品種だが開花が始まっている。

 

 

 

「箱根ジオパーク・幕山ジオサイト」の案内板。幕山の溶岩ドームのこと、幕岩の柱状節理のことが記されている。

 

 

 

梅林へ。

 

上がってすぐ右手は幕岩をバックにした記念撮影ポイント。そちらは後で回ることにする。手始めに舗装路を左へ登って行き、撮影ポイントとなる池へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池に到着。池面に映る紅梅白梅が見どころ。

 

 

 

少し風が出ていて、池面がわずかにさざ波だっている。

 

 

 

 

 

 

 

この先舗装路をまっすぐ進んでいくと一ノ瀬橋、大石ヶ平を経て幕山山頂への緩やかな登山道へ、あるいは一ノ瀬橋(一ノ瀬分岐)から「しとどの窟」へ登っていく登山道へと通じる。

 

 

 

梅林の散策路へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楊貴妃(ようきひ)」。淡い紅色の八重咲き。豊後(ぶんご)系。

 

 

 

 

 

 

 

「鴛鴦(えんおう)」。緋梅(ひばい)系。

 

 

 

 

 

 

 

「一重緑萼(ひとえ りょくがく)」。萼や枝が緑色で「青軸(あおじく)」ともいう。野梅(やばい)系。

 

 

 

 

 

 

 

「豊後(ぶんご)」。こちらは実梅(みうめ。実を採る梅)。ウメとアンズの雑種が起源。

 

 

 

 

 

 

 

「未開紅(みかいこう)」。豊後系。

 

 

 

「紅千鳥(べにちどり)」。濃い紅色。緋梅系。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見驚(けんきょう)」。野梅系。

 

 

 

幕岩と「白加賀(しろかが)」。

 

 

 

 

 

 

 

幕岩を背景にした記念撮影ポイントに下りてきた。

 

 

 

撮影に興じる人波の合間を縫って。

 

 

 

幕山の山頂に至る園路へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらには「枝垂れ緑萼」が多数。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思いのまま(輪違い)」。一本の木で紅白咲き分け。野梅系。

 

 

 

 

 

 

 

「唐梅(とうばい)」。緋梅系。

 

 

 

 

 

 

 

幕山の幕岩は南関東有数の岩登りのゲレンデ。週末のこの日は多数のクライマーで賑わっていた。

 

 

 

満開の白梅を透かして見たその先、そこかしこの岩場で岩壁に取り付くクライマー。早春の湯河原梅林ならではの光景。

 

 

 

 

 

 

 

「山の宴(えん)咲くは梅かクライマーか」。リズミカルに韻を踏んだつもりで、ちょっと危うい感じを醸しだそうと敢えて五六六で詠んでみた。

 

しかし、これではお題の写真がないと句だけ見たら何を詠んでいるのか分からないことに今更気づく。そこでちょっと直してみる。
「湯河原や咲くは梅かクライマーか」

 

 

 

「梅の宴(うたげ)」の季節にはたくさんの観梅客をギャラリーにしてのクライミングとなる。

 

 

 

梅林最高地点あたりまで登ると山裾一面、梅の花。観梅の「一目千本(ひとめせんぼん)」とでもいうべき、眺望も見事な湯河原梅林。

 

 

2.幕山から自鑑水、大石ヶ平、一ノ瀬分岐へ

page top