まちへ、森へ。

横浜ベイサイド、昂る秋の一日

好天に恵まれた、令和元年(2019)10月最初の週末。

 

JR根岸線・関内(かんない)駅からプロ野球クライマックスシリーズ(プレーオフ)の開催に沸く横浜スタジアムへ。さらに護衛艦「いずも」が停泊する大さん橋・赤レンガパーク、2019ラグビーワールドカップ横浜ファンゾーンが特設された臨港パーク、JR桜木町駅へと歩く。

 

1.2019CS開幕前の横浜スタジアム

 

 

JR関内駅南口。
横浜ベイスターズが横浜DeNAベイスターズとなって、2012年4月に登場したヘルメット。ベイスターズは生まれ変わり、この地にすっかり馴染んでいる。

 

 

 

駅構内には「一生残る、一瞬のために。」のラッピング広告。

 

この日は横浜スタジアムにて「クライマックスシリーズ(プレーオフ)1stステージ」第一戦が行われた。

 

 

 

横浜市役所の前には「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」の幕。

 

一方で、ラグビーワールドカップ2019。この日は日本代表の第三戦目となる日本対サモア戦が豊田スタジアム(愛知県)で行われた。横浜では臨港パーク(みなとみらい)のファンゾーンでパブリックビューイングが開催された。

 

 

 

横浜スタジアムのレフトウィング席。2020年シーズンの開幕に合わせて供用開始すべく、建設が着々と進む。

 

時刻は午前10時45分ごろ。午後2時のプレイボール前から、続々とファンが集結している。

 

 

 

2019年シーズンは一塁側のライトウィング席などが完成し、収容人員がおよそ32,000人となった横浜スタジアム。三塁側のレフトウィング席が完成すれば、およそ34,000人収容となる。

 

横浜開催となった「2019クライマックスシリーズ」1stステージ。球団ウェブサイトのチケットページにはアクセスが殺到し、やっと繋がったころにはビジター外野席しか残っていなかった。残念。

 

 

 

三塁側内野席ゲートへの通路。

 

公園の外に出て、歩道から一塁側へと回り込む。

 

 

 

バックネット裏の個室観覧席エントランス。

 

 

 

一塁側。スタンド、照明塔が歩道ギリギリまで迫る。

 

 

 

ライトウィング席。

 

 

 

小さかった外野側スタンドも、デカくなった。

 

 

 

以前「2019年は球団創設70周年となる。その時ベイスターズはどのような歴史を刻んでいるだろうか」と書いた。そして2019年、チームは1998年の優勝後いつ以来だったか、本当に久しぶりにシーズンの最終盤まで優勝争いを演じた。

 

シーズンをほぼ棒に振った故障者も少なくないなか、6月には地力に勝るパ・リーグとの交流戦を10勝7敗1分けと勝ち越す。夏場には首位に0.5ゲーム差まで迫るも、シーズン後半には主力選手の故障による長期離脱が続出。決して厚くはない選手層ゆえの疲弊にも襲われた苦しいシーズンだった。
チームはキャプテンの筒香(つつごう)選手を中心に最後の最後まで粘りを見せ、最終的には二位でフィニッシュしてクライマックスシリーズ(プレーオフ)創設以来初となる本拠地開催権を勝ち取った。これは2017年シーズンの三位から敵地を勝ち抜いて実現した日本シリーズ進出とはまた違った感慨をもたらした。

 

 

 

野球ファンにはまるでスポーツ誌に寄稿するプロのライターのような、一家言を持つファンが無数にいる。そうしたファンの声はインターネットの利用が生活に深く浸透した現代においては、どうあっても「居酒屋談義」「便所の落書き」の時代とは比較にならないほどに存在感を発揮する。そして、それこそが日本における「野球文化」の奥深さを象徴する。

 

とはいえファンはファンであって、大相撲の隠語でいえば球団の「顔じゃない」。そのことは球団の外にいるプロフェッショナルな野球解説者にさえもあてはまる。

 

 

 

スタジアムにはコアなファンからライトなファン、そして必ずしも野球に詳しくないファン初心者までが続々と集い、連日超満員の中で「我々のチーム」に熱い声援を送り続けていく。ここまで熱くなれる時代が、とうとうやって来た。そしてそれは大いなるムーブメントとして、来シーズン以降も続いていくだろう。

 

十数年前の横浜スタジアムの観客が現在にタイムスリップしたならば、ブルーに染まるスタンドを揺るがす大声援に「何なんだこれは?!」と軽いめまいを覚えるだろう。

 

 

 

ラミレス監督は、言うなればお館様(おやかたさま)から全軍指揮を任された総大将。幾つもの選択肢の中から総大将がチョイスした戦術を批判的に論ずる玄人ファンもまた、チーム愛は変わらない。

 

ただ「総大将がこうと決めた以上ファンは目指す頂点に向かってチームに熱い声援を送るのみ。結果を残している以上、後ろから矢を射かけるようなことはしたくない」というファンだっている。残してきた結果に対して「こうすれば優勝できた」という類の空論は、万人には響かない。だからこそ、心地よい興奮を求めるファンがスタンドを埋め尽くす光景は途切れることなく続いていく。チームは年を追うごとに確実に前進し、そして何が足りないかも明確化している。

 

 

 

2017年の日本シリーズでは開幕三連敗から連勝で巻き返し、第六戦では逆王手の寸前まで王者福岡ソフトバンクに食い下がった。
2019シーズンは例年になく投手陣が疲弊しきった中で迎えたクライマックスシリーズ初戦で悪夢の大逆転負けを喫したものの、二戦目で劇的に巻き返し、三戦目で散った。

 

迎える2020年シーズンはここ数年来、各年毎に結果を出してきた選手たちがどの程度戻ってくるだろうか。面子は揃うだろうか。チャンピオンフラッグをゲットするまでの、夢の続きはまだまだ長い。筒香キャプテンが自身の夢の実現に向けて海を渡る来シーズン以降もベイスターズファミリーの結束に揺るぎはない、と信じたい。

 

 

 

スコアボード下からは場内が見える。

 

 

 

横浜公園から日本大通(にほんおおどおり)、象の鼻パークへ。

 

 

 

日本大通の「THE BAYS(ザ・ベイス)」。関東大震災(大正12・1923)後の昭和3年(1928)に建てられた「ニチメン(現双日)横浜支店ビル(のちに関東財務局横浜財務事務所)」を改装してベイスターズファンの集うベース(基地)となった。

 

 

 

ベイスターズのユニフォームをまとうファンが集う。

 

 

 

日本大通から象の鼻パークへ。

 

 

2.海上自衛隊フリートウィークの大さん橋、赤レンガパーク

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