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年中行事、祭、イベント

大山阿夫利神社・火祭薪能

 

平成30年(2018)・令和元年(2019)の10月2日、神奈川県伊勢原市・大山阿夫利神社(おおやま あふりじんじゃ)能楽殿で開催される「火祭薪能」(ひまつり たきぎのう)の観覧に出向く。

 

なかでも令和元年の火祭薪能は文化庁が全国各地で展開する「日本博」文化資源活用推進プロジェクトの一環として開催された。

 

 

能楽殿は下社(しもしゃ)ではなく麓に近い社務局の境内に建っている。参道を振り返り見下ろした先の赤い欄干は「社務局入口」バス停のそばに架かる中央橋。

 

 

 

能舞台の正面に設営された桟敷席(指定席Dブロック)。

 

 

 

 

 

 

 

舞台正面の椅子席(指定席Aブロック)。ここは能楽堂の「正面(しょうめん)」に相当。

 

 

 

 

 

 

 

Aブロックの外側(右手)に設けられているのは椅子自由席。
自由席は事前申込による抽選となり、当日の着席は先着順。15時の開場に合わせて、観客の出足は早い。

 

 

 

 

 

 

 

桟敷席(指定席Dブロック)の後列から見る舞台。
正面の席は椅子、桟敷のすべてが指定席となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

指定席Aブロックのすぐ左手は指定席Bブロック。Bブロックは能楽堂の「中正面(なかしょうめん)」に相当。

 

 

 

Bブロック最前列からの舞台。舞台角の目付柱(めつけはしら)を真ん中に見る位置となる。

 

 

 

Bブロック(中正面)の後ろに設けられた椅子自由席。

 

 

 

Bブロックの左隣が指定席Cブロック。こちらは能楽堂の「脇正面(わきしょうめん)に相当。

 

 

 

Cブロック(脇正面)は「橋掛り」(はしがかり)が近い。
橋懸りは単なる通路にとどまらず舞台の一部としても機能し、脇正面を好む観客も少なくない。

 

 

 

Cブロック(脇正面)の後ろにも椅子自由席が設けられている。

 

 

 

Bブロック(中正面)の最後尾に設けられた、桟敷自由席。後列から舞台を見る。

 

 

 

大山能狂言の案内板。大山能楽社保存会は現在も能の観世流宗家、狂言の大蔵流山本家とのかかわりが深い。

 

 

 

今回の観覧席はCブロック(脇正面)の最前列、中正面寄り。

 

始めに大山能楽社保存会の子ども達による狂言が見事に演じられた。

 

 

 

演目(曲目)の上演に先立ち、火祭神事が執り行われる。画像は「弓の神事」。

 

 

 

篝火の火入れ。

 

 

 

演目(曲目)が始まると撮影はできない。

 

狂言の曲目は「清水(しみず)」。シテ(主役。太郎冠者)は山本東次郎。
能の曲目は「安達原‐白頭‐(あだちがはら しろがしら)」。シテ(主役。女主人)は観世清和。

 

 

 

続いてこちらは令和元年(2019)10月2日の観覧。座席はAブロック(正面)の最前列。

 

この年の火祭薪能は文化庁が全国各地で展開する「日本博」の一環として開催された。訪日外国人観光客に向けて文化芸術を発信する趣旨の下、会場には前年よりも多数の外国人観客の姿が見られた。
折しもラグビーワールドカップ2019日本大会の開催期間が重なったこの年。試合間隔が空くというラグビーならではの特徴ゆえ、長期滞在するサポーターも多い。観戦の合間に、ここ大山を訪れた人たちもいただろう。

 

能狂言の上演、火祭神事に先立ち、地元小学生による日本語・英語の挨拶、保存会の子ども達による狂言、青年たちによる神楽舞の奉納が行われる。

 

 

 

神火(しんか)の入場により、火祭神事が開始。

 

 

 

古札に神火を灯す「降神の儀」。

 

この年は伊勢原甲冑隊も火祭神事に参加した。甲冑隊は伊勢原ゆかりの室町期武将・太田道灌(おおた どうかん)を偲ぶ「道灌まつり」にも出演する。

 

 

 

 

 

 

 

弓矛神事(ゆみほこしんじ)のうち「矛の神事」。

 

 

 

「引目神事(ひきめしんじ)」。実際に矢が放たれ、四方山の罪・穢れを祓う。

 

 

 

伊勢原甲冑隊の演ずる武者による火入れ。

 

 

 

神火が移され、篝火が灯る。

 

 

 

法螺貝が響き、時の声を上げる甲冑隊。

 

 

 

令和元年の初日の曲目(演目)は「日本博」プロジェクトの趣旨を反映し、初心者が観ても楽しめる派手な演出の曲目が選ばれた。

 

狂言は「樋の酒(ひのさけ)」。シテ(太郎冠者)は山本東次郎。
能は「土蜘蛛(つちぐも)」。シテ(僧・土蜘蛛の精)は観世清和。

 

 

 

終演後の舞台には土蜘蛛が大量に放った千筋の糸の一筋が梁に掛かったまま、なびいている。

 

 

 

再び平成30年の画像。18時40分ごろ、終演。

 

 

 

とっぷりと日も暮れ、初秋ともなれば山懐の境内はひんやりと肌寒い。

 

 

 

この能舞台の最たる特色である、「鏡板(かがみいた)の老松(おいまつ)」の位置に植えられた松が闇にくっきりと浮かび上がる。

 

 

 

闇に浮かび上がる能舞台は幽玄の美の極み。その周りでは撮影に興じる外国人観客の姿も目立つ。

 

 

 

桟敷指定席。

 

 

 

桟敷自由席。

 

 

 

献燈。

 

 

 

舞台を囲む引戸が引かれていく。

 

 

 

会場を後にして伊勢原駅行の臨時バスを待つ列へ。ここまで長居すると列の最後尾になってしまうが、それでも19時半頃までには乗車することができた。

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