ラグビーワールドカップ2019の熱狂を受け継いで開幕した、2020シーズンのラグビートップリーグ。ニッパツ三ツ沢で行われた、キヤノン対NECのゲームを観戦する。
ニッパツ三ツ沢・ラグビートップリーグ観戦記
正月休みが明けて間もない1月12日、2020(令和二)シーズンのラグビートップリーグが開幕。このシーズンはワールドカップ日本開催の関係で例年ならば秋の開幕が年明けにずれ込んだ。
第三節の1月26日、横浜市・ニッパツ三ツ沢球技場で行われたCanonイーグルス対NECグリーンロケッツのゲームを観戦に行く。
キックオフ(13:00)の30分前。三ツ沢までは旧東海道(環状一号)・浅間下(せんげんした)バス停からの長い坂を登る。
この日は一週間前からの週間天気予報どおり、雨または雪。大寒を過ぎて寒中真っただ中の底冷えする日だったが、みぞれ交じりの冷たい雨はお昼までに何とか上がった。
メインスタンド裏の入場ゲートからサイドスタンドを通ってバックスタンドへ。午前中まで雨、しかもかなり寒かったので出足は鈍いかもしれない、と踏んで来場を少し遅らせたのだが予想外の混雑。
チケットはメインスタンド中央寄り自由席とその他自由席の二種類に区分されていたが、メインスタンド中央寄り自由席は発売開始初日の夜にウェブにアクセスしたら既に完売だった。
ワールドカップで列島を覆ったあの熱気は、トップリーグへと着実につながっている。
東サイドスタンドからのメインスタンド。
バックスタンドもかなり埋まっている。東側(手前側)にはキャノン関係者・ファンが陣取っている。
バックスタンドを比較的座席に余裕のある奥(大型モニターの側)まで進み、ゴールライン際に着席。こちらのエリアはNECの小旗を振る関係者・ファンが多い。でもラグビーなので、どちらのサイドであってもあまり関係ない。
選手の入場。
Canonからは日本代表スタンドオフ田村優(たむら ゆう)選手、そして今季から加入の日本代表スクラムハーフ田中史朗(たなか ふみあき)選手と南アフリカ代表センターのジェシー・クリエル選手がスタメンで出場する。
NECにはサモア代表主将NO.8のジャック・ラム選手が今季から加入するが、この試合のメンバーには登録されていなかった。シーズン序盤からの合流は間に合わなかったのだろうか。
NECのキックオフで試合開始。
NECのノックオンでファーストスクラムは開始早々にやってきた。
ジャパンの10番・キャノン田村のタッチキック。来た来た。
三ッ沢のバックスタンドはピッチが近いので迫力が凄い。
うおおおっ。グラウンディングの瞬間を撮り損ねた。
奥を並走するのはジェシー・クリエル。彼はワールドカップのNZ戦に途中出場している。とするとクリエルは横浜の日産スタジアムとニッパツ三ツ沢の双方でプレーをした南ア人になった、ということだ(それがどうした、と言われればその通りだが)。調べてみたら、ジャパンのラピース(ピーター・ラブスカフニ。クボタスピアーズ)も昨シーズンのトーナメントでニッパツ三ツ沢でプレーしていたのね。
「ワールドカップロス 吹き飛ばすラガー達」 上五を字余り、句またがりで詠んでみた。
「ラグビー」「ラガー」は冬の季語。かつては1月2日の大学選手権準決勝、8日の決勝、15日の日本選手権(社会人代表対学生代表)と続く旧国立競技場に大勢の晴れ着姿の女性たちを見かけたもので、ラグビーは紛れもなく冬の風物詩だった。そして今、その様相を変えて冬の風物詩は復活を遂げつつある。
田村のコンバージョン。
この日の田村は左から右から計6回蹴って全て成功と大当たり。マン・オブ・ザ・マッチを獲得した。
前半28分、危険なプレーの有無をめぐってRWCですっかりお馴染みとなったTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)による判定中。
これが結局NECのペナルティとなり、そこから失点につながる。
NECがシンビン(危険なプレーに対する一時退出)で一人少なくなった前半37分、キャノン4つ目のトライ。ゴールも決まって28−0。
おいおい、大丈夫かNEC。なにやらワンサイドゲームの気配が漂ってきた。後半はこっち側サイドでのプレーがあまり見られないかもしれない、とちょっと気を揉む。立ち見でもいいから向こう側サイドに移動しようかと一瞬よぎったものの、やっぱりやめた。
後半7分、NECがすぐそこまで運んできたボールを攻撃的なタックルでもぎ取るように奪い取ったキャノンの15番エスピー・マレーが70m近く独走してトライ。観客が大型モニターに見入っている。
NECサイドのこちら側からは「頼むー、ワントライ取ってくれー」の声援。
自陣深くでのマイボールスクラム、日本代表SH田中の球捌き。
来た来た、NEC。しかしNECサイドのお客さんがなぜか目の前のプレーとは違う方向への視線で盛り上がっている。モニターに何か映っているのだろうか。
と思ったらなんと、交代で退いたフミさん(田中史朗選手)がピッチサイドに歩み寄り、こっちに向かって手を振っていたのか。全然気が付かなかった。
NECの小旗が揺れるゴールポスト裏スタンドからも「たなかー」の声援。それに応えるフミさん。
後半の中頃からはNECも反撃に転じ、2トライを奪う。目の前に再び現れたトライシーンには興奮して何を撮っているのかよくわからない画像になってしまった(インゴールに飛び込んだ選手の足は見える)。
NECのキッカーは10番のティム・オマリー。
ともあれ、後半も目の前でプレーが繰り広げられる試合展開に。あっちへ動かないでよかった。
午前中の冷たい雨にもかかわらず、観客は一万人を突破。15,000人収容の三ツ沢に、本当によく入った。
ノーサイド。
握手を交わしながら、NECとキャノンが入れ替わり。
「たむらー」「たなかー」と声援が飛ぶ。
「ラガー等もファンも至福のノーサイド」
真冬の北風にはためくバックスタンドのトップリーグ旗、両チームの旗。
ニッパツ三ツ沢での2020トップリーグのゲームは次節の第4節まで。その先はサッカーJリーグのシーズンへと突入していく。
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