令和元年(2019)5月中旬の週末、箱根湿生花園にて恒例の「ヒマラヤの青いケシ展」を訪れる。湿性花園の後は箱根外輪山の明神ヶ岳(1,169m)に登り、外輪山麓の大雄山最乗寺(道了尊)へと下山する。
1.箱根湿生花園「ヒマラヤの青いケシ(ブルーポピー)展」
箱根仙石原、湿生花園で季節の花を鑑賞してから山を歩く山旅。このページではヒマラヤの青いケシ展を観に行く。例年よりも前倒しの5月中旬に見頃を迎えたこの年は、サクラソウ展のほか高山植物のコマクサ、ミヤマオダマキ、シラネアオイ、ハヤチネウスユキソウ、リュウキンカなども観ることが出来た。
新緑の季節を迎えた湿性花園。時刻は朝の9時過ぎ。
エントランスにはブルーポピー(ヒマラヤの青いケシ)のコンテナ。
売店内の受付を抜け、園内へ。
園内案内板。
入ってすぐのところに、ヒマラヤの青いケシの鉢植えが展示されている。
メイン会場は、この先。
サクラソウ展。様々な園芸品種が一堂に揃う。
「萬歳楽」
「雪月花」
「美女の舞」
「濡れ燕」
「初日の出」
高山のガレ場を再現したロックガーデンの一種「スクリーガーデン(ガレ場の庭)」。
水はけが良いように、地面が深く掘られて砂礫が敷き詰められている。高山植物は暑さに弱く、平地の土壌では育たないものも多い。ガレ場に咲く高山植物は深く広く根を伸ばし体温を下げている。
北アルプスなど高山の夏山を代表する「高山植物の女王」コマクサ(駒草)。高山植物の人気投票があると、必ずと言っていいほど一、二位を争う(異論は認めます)人気の花。
日本での自生地は標高が高く北寄りに位置する北アルプスと八ヶ岳、そして緯度が高い東北や北海道の山。
コマクサは、大きくはケシ科の括りに属する。和名は駒(馬)の頭になぞらえて付けられた。
「アルプスの星」エーデルワイスは花が付いていなかった(この後に観た「高山植物のお花畑」ではエーデルワイスに瓜二つの親戚・ハヤチネウスユキソウが開花していた)。
「青いケシ展」のメイン展示へ。
平成31・令和元年(2019)の「青いケシ展」は、十連休に合わせて開花期が調整され、例年よりも前倒しでの実施となった。とはいえ、これから開花する株もあるとのことで、花を楽しめる期間が長くなっていた。
高山の岩場を再現した展示スペース。
詳細な解説パネル。
「ヒマラヤの青いケシ」の自生地は、遥か天空の地。
展示されているのはメコノプシス・グランディスか、あるいはメコノプシス・ベトニキフォリアか。
ヒマラヤ周辺の高地(ネパール、ブータン、チベット、雲南省など)にだけ自生する「ヒマラヤの青いケシ」(ブルーポピー)は、ハイカー・トレッカーにとっては憧れの花。
透明感のある、透き通るような神秘的なブルー。
続いて、ブナの新緑が芽吹く園路から、新緑の季節に相次いで開花する高山植物区へ。
ブナの若木。
「低層湿原の植物」エリア。
リュウキンカの仲間、エンコウソウ(猿猴草)。大きくはキンポウゲの括りに属する。
花びらのように見えるのは萼片で、5〜7片つく。高地に咲くリュウキンカ(立金花)にそっくりだが、茎は直立せずに横に這う。
サクラソウの仲間、クリンソウ(九輪草)。
仏塔の九輪(相輪)に似ていることから付けられた、という和名。
突然、「ケン、ケーン」とキジの大きな鳴き声が間近に響く。
サクラソウ。人の手によって数々の園芸品種が造り出された、人気の山野草。
高山や亜高山、山地にもその仲間である「何々ザクラ」という花は、とても多い。
スイレンの仲間、コウホネ(河骨)。
休憩所の裏手へ。
山野に咲く稀少な野生ラン、クマガイソウ(熊谷草)。
ほぼ終わっていたなか、数輪だけ残っていた。
「高山のお花畑」へ。
こちらも人気の高山植物、クロユリ。開花はこれから。
シラネアオイ(白根葵)。風にあおられ、なかなか良いタイミングで撮れず。
ミヤマオダマキ(深山苧環)。人気投票ベストテン入りクラスの高山植物が続く。
ハヤチネウスユキソウ(早池峰薄雪草)。
ウスユキソウは「アルプスの星」エーデルワイスの親戚。こちらもまた、日本の高山植物ではトップレベルの人気を誇る。
ウスユキソウはその生育地ごとに僅かな違いがあり、それぞれの地域の固有種として扱われる種も少なくない。岩手の名峰・早池峰山(はやちねさん)の固有種となるハヤチネウスユキソウはヨーロッパのエーデルワイスに最も似ている、とも言われる。見た目はほぼ同じ、と言ってもいい。
花びらのような苞(ほう)には薄雪のような綿毛をまとう。
エゾノハナシノブ(蝦夷花忍)。
「高層湿原の植物」エリア。
リュウキンカ(立金花)。本州、九州の高層湿原に自生し、尾瀬など自生地ではミズバショウと同時に開花することでお馴染み。
東北以北の高地で自生するのはやや大振りなエゾノリュウキンカとなる。
新緑の仙石原湿原植生復元区。
ハンノキの湿生林へ。
サラダ菜のお化けのようになったミズバショウ群落に、僅かに花が残っていた。
午前10時45分ごろ、湿生花園を後にして明神ヶ岳へ向かう。
大原橋からの明神ヶ岳(1,169m)。
「仙石(せんごく)案内所前」バス停からの金時山(きんときやま。1,212m)。
明神ヶ岳の登山口となる「金時登山口」バス停まえ。登山口から矢倉沢峠(やぐらさわとうげ)までは金時山と同じ登山道をたどっていく。
バス停前のローソンは閉店していた。
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